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公開日:2022年6月28日
更新日:2022年6月30日
2022年6月28日、13年ぶりの募集となっていた宇宙飛行士選抜試験の書類筆記試験の結果が発表された。私は通過ならず、ここで終了となった。結果には、不合格理由が掲載されないため原因は分からない。しかしそれでもこの選考を通していろいろと考えるところがあった。
この選考を通して得たものと、失ったものをまとめておきたい。
得たもの
まず明確に得たものを考える。
一般教養・STEMの知識
一般教養と理科について知識が深まった。特に日本史と世界史については、公立の中学校の定期試験レベルでほぼ止まっていた。ここで新たに学ぶことで、日々の生活に深みが増したように思う。特に日本史では城を見学したときに「ああ!鎖国してるくらいの時期!」と思ったり、スペイン料理で「カレー味は、西ゴート王国時代に占領されていたからか!」のような新たな発見を日々の生活でするようになった。
こちらは、とある投資銀行やコンサルなどが多く入ったビルの隣にあるスターバックス。そんな場所で待ち合わせの際に真剣にセンター生物をやる私は、なんだか金融業界に対する反逆行為をしている、ぞくっとした気分になった。
一般教養について:一般教養とは何か?意味と効果・常識・社会人との関係
宇宙開発関係の知識
宇宙関係については、ほぼ知識がなかったが、それらを体系的に読むことで、これらがどうなっているかどうか?について現状を把握することが出来た。特にセキュリティや量子コンピュータなどと宇宙開発は隣接分野と認識しているので、今後の仕事などにも間接的に生きてくることになるのではないだろうか?
体幹・バランス・筋力
運動で無酸素と有酸素を日課として継続的にトレーニングをするようになった。バランス感覚や体幹や筋力もついた。
そもそもジム通いをする習慣も付くことになった。
これはスポーツの方でも直接生きてくることだろう。
多様な方々との交流
特にTwitter上で、この選抜試験を受けなければ絶対にやり取りをしなかったであろう人々と、やり取りをすることが出来た。
中にはこんなコメントを頂いた。
こうおっしゃっていただけるだけでも、今回選抜を通して、Twitter等で過程を公開した甲斐があったように感じる。
記念品
宇宙兄弟さんによる記念証やリポビタンDを頂いた。まだ飲めていない。
また月行きのチケットも記念に受け取ることが出来た。
その他月の土地を買ったり、月面体験をするなどいろいろあった。
詳細は以下のツリーを参照ください。
宇宙飛行士に転職するために、鳥取砂丘で月面探査 @LunarBase_TT
し、パラグライダーで空を飛び、サンドボードで砂を滑り、砂でアートしました。・・・「宇宙飛行士に転職するために」と言えば、どんな変わったことでも正当化される説#宇宙飛行士に転職だ pic.twitter.com/3I9KR40njn
— はじめ (@Hajime77com) March 26, 2022
「得たもの」なのかはわかりませんが、「なりすまし」(?)が現れたりもした。
失ったもの
一方で、失ったものを考えると以下のようになった。
体脂肪
まず、体脂肪を大量に失った。体脂肪率22%代のちょっとした肥満状態から、体脂肪率11%まで減った。膝や足首の負担も減ったようで痛みもなくなった。
やり方はこちら。:3週間で10kg痩せ健康診断をオールAにした、誰にでもすぐ出来る即効ダイエット法!
体内年齢
体内年齢も同時に38歳から19歳にまで減った。ティーンネイジャーである。
やる気のない日常
明確な目標がなくやる気がなかった日々を失った。
これといった目標もなくやる気がなくなっていた日々に、真剣に目指すものが出来毎日が楽しくなった。もしかしたらこれが一番良かったかもしれない。
詳しくはこちら:「明確な目標のある日々は、とても楽しい」JAXA宇宙飛行士候補者選抜試験【2】
ということで「ネガティブに失ったもの」は見当たらない。せっかくやったのに無駄になった、という気は全くない。
強いて言えば、一般教養やSTEMを優先したために積読が増えたというのはあるが、これは取り組む期間が先延ばしされただけである。
直接的に選抜されることはなかった。
しかしそれでも以下の記事をはじめとして度々言及しているように「人間万事塞翁が馬」であるので、もしかしたら数年後に「あ、あの試験の時に調べたな・・・!」的なことが出て来て、思いもよらないいい方向に進んだりもするかもしれない。
拙著をお読みいただきありがとうございました。読者の皆様も新型コロナの影響で行き場のない思いをしている方も多い事と思います。読者の中で数年後に以下のセンテンスが頭によぎることが有れば、今回筆をとった甲斐があったように思います。
「ああ、今の自分があるのは、あの時コロナに阻まれたおかげかもしれない」
終わりに
受けるだけなら無料な中で、上記のようなものを得ることが出来た。仮に落ちるという未来が分かっていたとしても、真剣に応募し、対策していたと思う。
なお「選考基準とかに不満とか疑念はないの?」と言った連絡は度々頂いた。もちろん全くないわけではないが、宇宙飛行士と言えども「いち組織の就職活動の選考」であることは間違いないので、相手の希望に沿わなかったというだけのように思う。
最後にこれに関して次の言葉を紹介したい。
「グッド・ルーザー」
監督が「グッド・ルーザー」ということをよく仰っていました。スポーツですから勝たなくてはいけないのだけれども、負けたときこそ、スポーツマンとしての品格や人間性が出ると言うのです。よく言われたのは、テニスでは、負けた方が必ず先にネットに近寄って行き、勝者を称えて握手を出せということです。負けて「くそっ」と言ってラケットを投げ捨てるのではなく、負けたときころ相手を祝福する。そうしたグッド・ルーザーであれば必ず、次の勝機が生まれてくるのだと。そして、そうできる人間は努力した人間だという。一生懸命練習して本気でやってきたから、負けても爽やかに「これは仕方ない」と思える。
いくら思うところがあっても、落選は落選である。ここでうだうだいうのは良いとは思えない。
曲がりなりにも現役アスリートでもあるので、骨の髄まで染みついていることではあるが、負け様というのは重要なように感じている。
- 相手や環境や審判の判定に物言いをするのはみっともない。
- 負けは負け。
- 相手が白旗上げるほどに圧勝していれば勝っていたはず。
- 至らない点を反省したほうが良さそうである。
いつもの大会や競技会などでも、個人的にはこれが一番うれしいことではあるが、勝っても負けても、試合後に「あなたと試合できてよかった」「あなた良い選手だ」と言ってもらえるように日々を生きることが「勝敗を超えた成功」であると考えている。
私の2022年宇宙飛行士選抜試験はこれで終わります。
末筆になりますが、今回の選抜に際し情報交換していただいた方、様々なコメントや応援を頂いた方々大変ありがとうございました。
次に進まれた方は是非次以降も全力で頑張っていただければと思います。