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公開日:2015年6月9日
更新日:2019年7月21日
奨学金の記事のアクセスが良いこともあって奨学金について記述いたします。
日本で奨学金というと、日本学術支援機構奨学金(貸与)「返済義務のあるいわゆる学生ローン」を指すことが多いですが、国際的には奨学金、Scholarshipというと返済義務のないものを指すことが多いです。
奨学金(しょうがくきん)は、能力のある学生に対して、金銭の給付・貸与を行う制度。金銭的・経済的理由により修学困難とされる学生に修学を促すことを目的とすることも多いが、金銭的・経済的な必要性を問わず、学生の能力に対して給付されることもある。通常先進国では奨学金は給付奨学金をさす(日本では特別な場合を除いて有担保貸与奨学金)
以下の記事でも触れましたが、私立財団のものと政府系のものに分けられます。
今回はドイツへ留学する場合に、ドイツ政府が支給しているドイツ学術交流会(DAAD)について記述いたします。
ドイツ学術交流会(DAAD)
DAADとは、Der Deutsche Akademische Austauschdienst (ドイツ学術交流会)の略称で、ドイツ連邦共和国の大学が共同で設置している機関です。 DAADは、大学間における国際交流を促進する役割を担っており、 国内外の研究者、大学教員、学生を対象にした多様なプログラムやプロジェクトを実施しています。
DAADは連邦の公的拠出金を財源基盤として運営されています。その大半は外務省、 さらに教育・科学・研究技術省、経済協力省から拠出されています。DAADの本部はボンにあります。
このようにDAADは、ドイツ連邦の国家資金によって運営されています。これを受給するということは、ドイツ政府から半ば雇われる形となります。
Finding Scholarships – DAAD – Deutscher Akademischer Austauschdienst
待遇
まず、以下に明確な記述があります。
DAAD奨学金は給付型ですので返済する必要はありません。
DAADはドイツで最も大規模な奨学金プログラムを展開しています。
応募できるものは、所属により多岐にわたります。
全体的に生活費と往復渡航費(場合によっては1部)をユーロ建てで支給しています。円安の今ではユーロ建てである点も有利な点です。
日本人が応募できる主なDAAD奨学金
応募資格(見込みを含む) | 学部 2年 | 学部 修了 | 修士 修了 | 博士号 取得 | 大学 教員 | 研究職 従事者 |
夏期・春期研修奨学金 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
大学教員の引率による学生グループ(10-15 名)研修旅行助成 | ○ | |||||
長期(7-36ヶ月)研究・留学奨学金(音楽・美術・建築は除く) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
短期(1-6ヶ月)研究・留学奨学金(音楽・美術・建築は除く) | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
音楽・美術・建築専攻者向け留学奨学金 | ○ | ○ | ○ | |||
DAAD元奨学生の再招待 | ○ | ○ | ||||
ライプニッツ・DAADリサーチフェローシップ (ライプニッツ研究所で研究を行うためのフェローシップ) | ○ | |||||
研究者のための Bilateral Exchange Program (日本学術振興会が募集する特定国派遣研究者) | ○ | ○ | ||||
二国間交流事業 共同研究・セミナー (日本学術振興会が募集する二国間交流事業、対象となるのは優れた研究者) |
学部生向け
学部生は夏期・春期研修奨学金へ応募できます。
内容は主にドイツ語の語学研修のようです。語学研修用の奨学金は、ドイツ以外でも非常に珍しい印象です。
大学院修士課程向け
大学院修士課程以上の方(学部を卒業している方)は上記に加え、長期留学用(短期博士号取得コース)に応募できます。芸術(音楽・美術・建築)コースもあります。待遇も往復渡航費や生活費に加え、保険料や、語学研修参加費まで負担と、大変好待遇となっています。ドイツへ進学希望の方は、まず出願することをお勧めします。
博士号保持者・大学教員向け
いわゆるポスドク・フェローシップのような形態のものがあります。かなり多岐にわたっているようなので、興味がある方は個人的にお調べいただくことをお勧めいたします。
「大学教員引率による学生の研修旅行助成」というのはかなり変わっていますね。こういう助成に積極的に応募してくれるようなゼミや研究室に応募したいものです。
ここまで待遇がよいのですが、競争率は4倍未満です。
競争率はどのくらいですか?
2013年は約20名の募集に対して約70名の応募がありました。
支給期間終了後の特典
こういった奨学金制度の特典として、支給期間終了後に「卒業生」としてネットワークに入れることが挙げられます。
ニュースレターをはじめとして様々な情報が入ってきます。
Tweetを見つけましたので拝借いたします。
DAADドイツ学術交流協会から来年の手帳が送られてきた。かつての奨学金留学生に毎年。上の今年の方がデザイン的にはいい。一週間が見開きで、1時間ごとに予定が書き込めるのに薄くてコンパクト。要、日本の休日書込み! pic.twitter.com/umQMAhbpds
— まるやま あつし (@junamaruyam) September 22, 2014
OB会やクリスマスパーティをはじめ、世界各国のOBとの国際会議への出席など様々です。恐らくドイツへ連絡する際に便利な?DAADのメールアドレスもいただけます。
メルケル首相来日の際も、卒業生は講演予約の際に優遇されたりと、様々な特典があります。
総じておすすめです。ドイツへの留学を考えている方は応募をお勧めいたします。