目次
公開日:2015年12月1日
更新日:2019年7月21日
はじめに
さて何事にもアクションを起こす際には、お伺いを立てるのが一般的でしょう。現在は日々変わりつつはあるものの、特に海外への公式な連絡はメールが一般的でしょう。今回は、コンタクトの取り方を書いてみようと思います。
今回は大学院のコンタクトに例を絞りますが、根本的には、大学でいえば例えば奨学金や助成金の申請、就職活動でのエントリーシートの書き方、企業で等で言えば交渉や売り込み全般に言える事かと思います。参考になれば幸いです。
メール①
だめそうなのから順番に通用しそうなものになるように肉付けして行く形で紹介していきましょう。
メール①
—–
題名:無題 (または自分の名前)
○○さん
私はあなたの研究に興味があります。学生を募集していますか?
—–
・・・スパムメールと変わりませんね。
題名
まず題名はそれを見るだけで中身が把握できる一文にしましょう。よくわからないアジア人が送って来ている無題とか、そのよくわからないアジア人の名前とか、もはやただのスパムメールと変わらないでしょう。むしろ返ってくる方がおかしいとも思えませんか?スパムメールに返信しているほうが珍しいでしょう。こういうメールを送って「返事かえって来ません」といわれても、仮にこのメールと大差ない、本物のスパムメールであったら、添付資料とか空けたらウィルス感染の恐れもあります。
自己紹介
私って、誰ですか?よくわからないアジア人ですか?まず簡潔に自己紹介をしましょう。例えば、日本のA大学の修士2年の学生で、B学を専攻しています。研究経験ではC装置やD解析経験があります。
興味があります
なるほど、興味があるんですか。どの辺にでしょうか?
ことにイギリス英語だと”It’s interesting”は皮肉の意味で、「うわ、まじつまんねー、よくそんなもんやってられるな」等を意味することも文脈によってはあります。よって上記のメールのままだと、次のように取ることができます。
「よくわからないアジア人が私の研究を『つまんねー』といっています。」
・・・仮にあなたがこの内容のメール貰ったら、返事、します?
ここは、どういう理由で、どのように興味があるかを述べる必要があるように思います。特に今までの研究経験と関連させてかければよいでしょう。例えば、「C装置やD解析経験の経験であなたのグループの研究のEプロジェクトの部分やF関連研究の部分に興味があります。」
ここまでの要素を駆使して、再度メールを書いてみましょう。
メール②
メール②
—–
題名:来年度の博士課程の応募について
○○さん
日本のA大学の修士2年の学生で、B学を専攻しています。研究経験ではC装置やD解析経験があります。D解析経験で、あなたのグループの研究のEプロジェクトの部分やF関連研究の部分に興味があります。来年度から貴グループでPhDのコースをやりたいのですが、学生は募集していますか?
—–
だいぶマシになった印象です。さらに追加していきましょう。
相手の立場に立つ
メールIIにおいては、自分の説明のみしか行っていません。より円滑に事を進めるためには、相手の立場に立って考えることは、他の状況においても重要だと思いませんか?もはや全ての人にとって一番重要なのではないでしょうか。
どう相手の役に立てるか?
採用する側からすれば、この人物がグループにどう役に立つかが気になるでしょう。仮に実験系であれば装置の利用経験などを盛り込んでみましょう。
C装置において行ったGという実験手法を身につけています。これは貴グループのF関連研究にも利用できるかと思います。
入学に必要なスコアや成績
相手側が大学である以上、いくら教員が取りたいといっても、大学の選考委員会が合格を出さなかったら当然入学は出来ません。スコアも満たしていることを付け加えておきましょう。
GREも必要であれば書いたほうが良いでしょう。筆者は新式を一度も受けたことがないのでよくわからないので省略しています。
ただし、基準を越えてなさそうであれば書かないのもありかもしれません。
例えば、TOEFL iBT のスコアは101/120で、大学修士の成績はGPAで4.00/4.00です。貴グループが所属するコースの基準は満たしています。
奨学金や助成金などの資金
ラボは言ってみれば中小企業みないなものなので、ラボの運営側からすると、資金面は非常に重要です。もし奨学金や助成が取れていれば、それについても言及しましょう。
私は日本のHという奨学金に採用されています。この期限は3年間で学費と生活費がカバーされます。
また、もし、これまでに連絡を取れていれば資金調達について協力を得られるかもしれません。
CV(履歴書)
就職活動みたいなものなので、履歴書を用意しましょう。フォーマットはなく2ページ以内に収めるのが通常のようです。
上記を踏まえて完成版はこんな感じになりました。
メール③
メール③
—–
題名:来年度の博士課程の応募について A大○○
○○さん
私は日本のA大学の修士2年の学生で、B学を専攻しています。研究経験ではC装置やD解析経験があります。D解析経験の際に、あなたのグループの研究のEプロジェクトや、F関連研究に興味があります。来年度から貴グループでPhDのコースをやりたいのですが、学生は募集していますか?
私はC装置において行ったGという実験手法を身につけています。これは貴グループのF関連研究にも利用できるかと思います。
私は日本のHという奨学金に採用されています。この期限は3年間で学費と生活費がカバーされます。
参考までにスコアですが、TOEFL iBT のスコアは 105/120で、大学の成績はGPAで4.00/4.00です。貴グループが所属するコースの基準は満たしています。
CVを添付いたしました。
よろしくお願いいたします。
—–
こんなかんじですかね? これなら、少なくとも来年度の学生を探していたら「一度話を聞いてみたい」と思いそうではないでしょうか?まだまだ個人的に何かあれば、オプションで付け加えてみましょう。
高いほうがいいのは間違いないでしょうが、ちょっと位はスコアや成績も融通も効くことが多いです。そもそも教員としては受かりさえすれば、入学後に全くといっていいほど役に立たないスコアなんかには興味ない人が多い印象です。
大学のウェブサイト、特に求人のプロジェクト内容は更新されていないことがかなりあるので、筋の通ったメールで論理的に聞いてみることをお勧めします。
具体的に考えて書くことのメリット
そのプロジェクト自体が既に終わっているなどで難しい場合でも、似たようなもので「こういうのあるんだけどどう?」と逆に提案されることもあります。実際にありました。
また、もし埋まっていてもその人の知り合いの方に「こういう人いるんだけどどう?」と転送してくれる可能性もあります。これも実際私も転送されたことがありました。
そのくらい「お、まともな連絡がきた!」と思われるのは重要なことだと思います。
終わりに
最近何かの間違いで、私のところにポスドクになりたいという連絡がたまにきます。そういうメールは決まってメール①のようなメールです。相手を誰だかも確認せずに、乱れ打ちしているのでしょう。
私も学部の際にメール③に似たようなを出願時に送りました。その際は奨学金はありませんでしたが、それでも返信率は8割強といったところでした。結局当時はリーマンショックの影響も重なって奨学金は付かずに進学は出来ませんでしたが・・・。まあ脈ありっぽい返事はちゃんと来たのでメールの送り方としては間違えていないはずです。
修士の際にはこれを応用してアポを取りました。返信率100%でした。そのうちの1人が現在の指導教官です。
ただし、コンタクトが取れても、話したり、一緒に働いたりした際に、いわゆる見せ方が上手いだけで、実力が無いと化けの皮がはがれることになってよろしくないので、日頃からできるようにしておくことが重要なのは言うまでもないことでしょう。
関連リンク
昔出願した際に見たことがあるようなサイトが並んでいました。
コンタクトの取り方 | 理系留学のススメ