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公開日:2021年11月1日
更新日:2021年11月1日
海外出張が多いものの、コロナで中止になっていた。海外出張の可能性の連絡があり。仕事柄少々海が近い国や地域に行くことが多い。特に税金やマネーロンダリングが関係すると、南の島なんかが多くなる。海が綺麗。ダイビングに持ってこいのロケーションである。
また少し調べると、中二病冒険マインドが刺激される「沈没船ダイビングツアー」なんていうのまである。ただし、どうやら参加には、スキューバダイビングのライセンスが必要なようである。この度ライセンスを取得することにした。
スキューバダイビングのライセンスもいろいろある
スキューバダイビングを行うには、ライセンスが必要となる。CertificationからとってCカードなんて呼ばれることも多いようである。
Cカードは一般には「ダイビングライセンス」とも呼ばれますが、正式名称はCertification Card。つまり認定証のことです。
実はこのライセンス、発行団体によっていくつか種類がある。PADI・SSI・NADI等など。
The 5 Best Scuba Diving Certification Programs of 2021
どうやらシェアや規模が大きいところが価値としても安全というネットワーク理論に則り、PADIのライセンスが良さそうと判断した。
さらに沈没船という深めの領域まで行くには、通常のOpen Water Diver (OWD) と比較して、Advanced Open Water Diver (AOW)という上位のライセンスが必要となることが判明した。
よってPADIのOWD/AOWライセンスが取れるところの中で以下の条件で探すことにした。
- なるべく短い期間
- なるべく安い価格
- 都心から近い
- 座学講習がない
色々調べていたところ、30mまで潜れるライセンスが通常のCカードとセットで合計で4日で取得できるセンターを発見。さらに都心からも近く、ウェブと教科書で自習で座学講習がない。さらにAOWとOWDのセットで割引まである。
葉山ダイビングサービス
そこで見つけたのが葉山ダイビングサービス。葉山ダイビングサービスは、京急逗子・葉山駅/JR逗子駅からバスで10分ほど。OWDとAOWの同時申し込み割引があり、座学講習はeラーニングの事前学習方式、OWD/AOWを各2日で取得が可能。調べた中では限定枠などを除いて最短・最安・最近であった。
さらに「PADI 5スターゴールドカード発行店」として認定されているため、認定された際に発行されるライセンスがゴールドらしい。
なおダイビングサービスの建物内の部屋に飾られていた雑誌と背景・写っている方々から、橋本環奈さんがOWD Cカードを取得したところと同じところだった様子。
テレビやドラマで大人気の橋本環奈さんが湘南の海でPADI のダイビングライセンスをGet!
詳しくは月刊ザテレビジョン9月号に掲載中♬#橋本環奈 #月刊ザテレビジョン #PADI pic.twitter.com/FbTQqYmWqe— PADIジャパン公式 (@padi_jp) July 28, 2021
eラーニング
OWDの座学コースはeラーニングで行われた。約8時間ほどかかる結構な量の映像と問題をこなす必要がある。各セクションで合格点(大体80%等)を超えないと、次のセクションに勧めず、基準を超えるまでやり直しになる。
次に進む際に「内容を理解しました。」と自己責任である旨を宣誓させられる。これはどうやら一定人数の死亡事故が起きているスキューバダイビングに際して、PADIのリスクマネジメントが予想される。(考察1 PADIのリスクマネジメント)
一方AOWの方は300ページほどのカラフルな教科書であった。各章末には章末問題が付いている。
オープンウォーターダイバーコース
オープンウォーターダイバーコースでは、安全にスキューバダイビングを行うために必要な技能のトレーニングを行う。
装備の装着方法や片づけ方法、マスクやレギュレーターに水が入ってしまったときの対応策などの頻繁に使うものから、中には結構マニアックなものもある。
- 水中で機材を脱いで、再度装着する
- バディが足をつった時に、フィンをもって足を伸ばしてつった足を回復するテクニック
インストラクターの方も言及していたが「トレーニング以外では一度もそんな状況になったことはない」そうである。
これは限定水域と呼ばれる浅瀬と、オープンウォーターと呼ばれる比較的深め(5-6m)で行われた。
個人的にも初めてで、レギュレーターを付けていたら、水中でくしゃみや咳が出来ることに感心した。
泳ぎに慣れてから陸に上がると、スーツも重くなり、海の生物が初めて陸に上がったであろう感覚を体験することが出来る。
2日間で項目を終え次第OWDとして認定される。
アドバンスドオープンウォーターダイバーコース
AOWではOWDに追加された内容のトレーニングを行う。特に大きい違いは潜る深さである。OWDの深さ限界は18mな一方で、AOWでは30mとなるため深く潜るトレーニングが存在する。
アドヴァンスド・オープン・ウォーター・ダイバー・コース(AOW)
ボートダイビング
AOWでは、ボートからダイビングするトレーニングがある。ということは、当然ボートに乗ることになる。
ここで教科書に載っていたボートダイビングで使用されているボートは次の写真のようであった。いわばクルーザーである。
しかし、集合場所に現れた船は次のような感じであった。
小型の漁船である。そして船長はおそらく漁師さんである。
船長「にいちゃんよぉ、おみゃあ、ラッキーだなぁ。今日は潮の流れがよぉ、穏やかだからよぉ。透き通ってらぁ。魚が見えるぜぇ。うぇーい。」
もはやノリが魚屋と同じである。運転もだいぶ荒い。跳ねそうな勢いで操縦しているどころか、実際トビウオのように数回は跳ねていた。酔い止めを飲み忘れたが、衝撃で酔うことすら忘れた状態であった。
ディープダイビング
ボートからはバックドロップのように海の中に落ちるバックロールエントリーと呼ばれるものである。おそらく一回転して水面に浮上する。この際にマスクなどにちょっと水が入ってくる。既に焦っている。
シッティング・バックロール・エントリーの成功例・失敗例(解説動画つき)
基礎からわかる! ダイビングスキルアップ術 第16回 ボートエントリー
更にエントリーの後に、ロープの元に行き着く。
20mとなると、水面上付近からではロープが結ばれている海底は見えない。このためロープだけが薄暗い海底の暗闇に続いている。
「これを下っていくのか・・・!」
威勢のいい漁師のトビウオ運転からの、バックドロップエントリー。さらに先が見えない暗闇へのロープで、既に何とも言えない恐怖感で既にパニック状態。
言ってみれば、ギリシャ神話の「ハデスに冥界に連れていかれるペルセポネ」みたいな情景である。(多分伝わらない。)
「ペルセポネ」とはギリシャ神話に登場する女神です。大地を司る女神である一方で、冥府の神「ハデス」の妻として「冥界の女王」とも呼ばれています。ギリシャ神話ではハデスに好意をよせられたペルセポネが、冥府に誘拐される「冥界下り」が有名です。
水中では、透視度は約5mと、5m周囲360度辺り一面真っ青で、海底は見えないため、太陽の位置とロープ以外は正直よく分からないが、高さ20mというと大体6-7階建てのビル位。お台場のガンダム(19.7m)位と考えると結構な高さがある。
水中に同じ深さ潜る代わりに、地上でガンダムのサイズを上っていく感じを考えると、状況的にはこんな感じだろうか?
https://twitter.com/Olympics/status/1423215649728385029
スポーツクライミングのゴールのコースの高さも15mほどなので、こんなもんだろう。
葉山について
元々葉山自体が宮内庁御用邸を擁する別荘地であることからも、お洒落で値段は高めなカフェが乱立している。気分的にも物価的にもモナコ・モンテカルロと似たような雰囲気であった。
お洒落なホテルも散見された。
葉山の海について
逗子・葉山ってダイビングできるの?という印象であったが、都心に近いダイビングスポットとして知られているようである。
実際に魚の大群に遭遇した。
https://twitter.com/hayamads/status/1446458800483954694
https://twitter.com/MISAKI29603878/status/1437396225288851457
先述の漁師の船長も
「ありゃあ、イサキの大群じゃあ。カンパチもいたろ?」
さっきの魚はイサキ。途中で出てきたのはカンパチ。漁船が行くところなだけはある。もはや寿司屋みたいじゃないか。
アジなんて「あ、最近料理教室で開いてフライにしたやつじゃないか」と思うなど。
考察1:PADIのリスクマネジメント
リスクマネジメントの視点でPADIのライセンスを見ると、かなり完成度が高い印象であった。
スキューバダイビングは、時折死亡事故が起きているアクティビティである。
このためプログラムの組み方は、なるべくパニックにならない要素を始めに入念にテストし、徐々に範囲を広げていく方式である。具体的にはまず、空気と視界の確保が重要で、その2つができていればまずはパニックにならずに冷静に対処できるということなのだろう。
またPADIとしても事故があった際に「PADIの指導やカリキュラムの問題ではなく、本人の問題」と責任範囲を限定している。この意味でもリスク対応をしていることがうかがえる。
考察2:呼吸と体積と浮力
浮力の調整をする際に、息を吸って肺の大きさで浮力を調整する。単純に浮力は体積に比例するため、大きく吸えば吸うほど浮力が上がり、なるべく息を吐けば下がっていく。
よって沈みたい時には息を吐き、浮きたい時には息を吸えばいい。ただしそんなに単純なものではなく、肺だけで調整せず、BCD(Buoyancy Control Device 浮力コントロール装置・着ている空気を出し入れする浮き輪のようなジャケット)の空気を出し入れして調整する。更に浮力は力であるため、実際に体が浮き沈みを始めるまでに数秒かかる。
かといって、ダイビング中は絶対に息を止めてはいけないので、結構苦しい思いをする(私が初心者で下手なだけという可能性もある)
深い場所よりも浅い場所の方が空気による力の受け方の影響を受けやすい。これは深呼吸ではあまり感じなかったがBCDでは顕著である。おそらくBCDの空気圧は、対圧に寄らないが、水圧が異なるため同じ空気圧で膨らむ量が変わるため、浅い方が浮きやすくなる、ということだろう。
考察3:海底で一部の色が見えなくなる現象と水中でも日焼けする現象
海底に色つきのプレートを持っていって観察する項目があった。このカードである。
確かに海底20mでは、赤や黄色等波長が長い側の色が暗くなり見えなくなった。
理論的な説明は、
太陽の光で確認できたので、海底まで届いていので、紫外線は確実に届いている。
ところで、水中にいたはずなのに、結構日焼けをしていた。数時間ほどであったが、日焼け止めを塗っていなかった部分は皮がむけるほどであった。
紫外線は可視光の短波長の色である紫(波長約380nm)よりも短い波長の為、海底でも光が散乱されづらい。よって水中でも紫外線は照射される。ある記事によると水中での吸光率は約40%程(数式的にはベールの侵入法則だと思われるため、減衰曲線の予想)、これが正しいとすると、水中では、約半分くらいにしかならない。
よって、海底で波長が長い側の赤色や黄色が見えにくくなる原理と、水中で日焼けする原理は同一の現象であることが予想される。
終わりに
どうにかこうにかなるべく短期間で安価で、海外でも使える沈没船見学ツアーなどに有効なスキューバダイビングのライセンスを取得することが出来た。数週間後にカードが送られてきた。
このタイミングでこんなニュースが。
硫黄島が隆起して、太平洋戦争時にアメリカが沈めた船が出現。すごい光景だ。
地殻変動で沈没船が陸上に…小笠原諸島で噴火相次ぐ pic.twitter.com/y0nKLZELPs— お侍さん (@ZanEngineer) October 17, 2021
元々沈没船を見に行きたいという中二病みたいな理由でAOWのライセンスを取得する運びとなったものの、沈没船の方が隆起して水上に出てきてしまったのでは、わざわざ潜る必要もなくなってしまった。まあいいか。
沈没船が見られるようにダイビングのライセンスを取ったのに隆起してきたら潜らなくても見られるという https://t.co/w54gkos19D
— はじめ (@Hajime77com) October 18, 2021