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公開日:2016年3月17日
更新日:2019年7月21日
よく理工系の学生をはじめとして特に修士課程以上の人は「国際学会が~」とか「国際会議が~」とか言っているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。この記事では、まず、それらが何なのかというところから、参加するにはどうすればいいのかを簡単にまとめてみます。
国際学会/国際会議の準備について。服装/持ち物/英語/発表/懇親会/プレゼン/レセプション, プレゼンなどなど
学会とは?
そもそも学会とは、なんだろう?Wikipediaによると以下のような説明がある。
学会(がっかい、英称: en:Academic conference、通称:会議)、シンポジウム(英称:en:Symposium)、研究発表会/研究会およびワークショップ(英称: academic workshop)は、研究者や実務家が成果について発表し、議論するための会議である。学術雑誌とともに、学術会議は研究者・実務家の間での情報交換を行なうための重要な媒体となっている。
要するに、形式や雰囲気に違いはあれど、似たような分野の研究をしている人たちが集まり互いに情報交換をする場と言って間違いなさそうである。
国際会議って何だろう?日本から見れば外国でやっていれば国際会議だろうか?、外国人がいれば国際会議なのだろうか?
今イギリスのかなり多国籍な環境からすれば、いろいろやっているが、学内のものやイギリス国内でやっているものもある。どちらも英語である。私の考えからすれば、おそらく
「国際会議=参加者の所属機関が複数の国で構成されてかつ英語で行われるもの」
何じゃないだろうか?これもまたいろいろつつけば出てきそうだが、一般的にはこの認識で問題なさそうだ。
Wikipediaにも書いてあるように、日本では英語で行われているものは国際会議とされているようである。日本●●学会全国大会は、たとえ外国人や外国機関の参加者がいても日本語で行われるはずなので、国内学会となる。名前はいろいろあるようであるが、大体発表会であることに変わりないと思って差支えない。Wikipediaには大体書いてあるが、少々詳細に見ていこう。
参加方法
さて学会の参加方法と言ってもさまざまある。招待されて行う招待講演やさらにその中でも重要な基調講演。その他の応募性の口頭発表やポスター発表。分野によってはデモ等もあるだろう。
聞きに行く場合は、参加費を払えば問題ないだろう。場合によっては勝手に入れるものも多く、黙認しているような気がする。ただし参加費を払わないとパンフレットなどはもらえない。
基本的に登録は早期締め切りと遅い締め切り、当日参加があり、早いほど登録費が安い傾向にある。
おそらくこのページを見ている人は発表を想定しているだろうから、今回は特に学生が関係しそうな口頭発表やポスター発表についてみてみよう。
アブストラクト提出
アブストラクトAbstract、紀要。概要等いろんな呼び方があるようだが、要するに発表内容を要約したものを締め切りまでに提出する。一般的にアブストラクトには会議ごとにテンプレートがありウェブページからダウンロードできる。分野によってword版とTeX版に主流が異なる場合などさまざまである。そのテンプレートに注意事項が書かれているので、それ通りに記述しましょう。アブストラクトを担当者が審査して誰を発表に選出するかを選ぶ。この申し込み数と採用数の倍率を採択率という。一般的に口頭発表のほうがポスター発表よりも倍率が高い。口頭発表に採用されなかったものはポスター発表に回されることは多い。(むしろポスター発表でリジェクトってあるんだろうか…?)採用結果などのやり取りは、知っている限りではメールで行われる。
宿泊施設
学会指定ホテル
特に大きい国際学会がの場合、学会の主催者が団体予約をしていて、参加者は割引がきくこともあります。ただし、全員分ないことが多いので、早めに登録しないと売り切れます。通常は、各国際学会のAccommodationのページから参照できます。
各自予約
団体で予約がない場合には、各自で予約します。基本的に学会は、「自分の発表」の際に指定会場で発表すればよいので、修学旅行のようにずっと一緒にいる必要はありません。
海外渡航予約にはエクスペディアが便利です。ほぼ全世界をカバーしています。「かしこい旅、エクスペディア」ならぬ、「かしこい学会、エクスペディア」
直前に「え!予約してなかった!」という場合でも大丈夫です。直前だと航空会社とホテルが空席・空室を埋める目的でさらに安かったりもします。ただ、安心のためには早めの予約をお勧めします。
なお、研究費利用の場合は別手続きが必要な場合もあるので、事前に所属機関に確認ください。
発表準備
発表が採用されたら発表準備をしましょう。当然ですが、口頭とポスターで発表方法は違います。順番に見ていきましょうか。
口頭発表
要するにプレゼンテーションです。これも少なくとも物理や化学のような学術色が強い分野では通常のパワーポイントやMacのKeyNoteなどを使った発表が大半です。もしかしたらコンピュータサイエンス系等では違う系統の発表もあるかもしれません。時間指定に注意してスライドを作成しましょう。制限時間はウェブページに書いてあると思います。例えば仮に「15+5min」とあれば発表15分、質疑応答5分と思って間違いないかと思います。
ポスター発表
一人一人にパネルスペースが与えられ、そのパネルにポスターを張ることで発表を行います。これもサイズ指定がある場合はそれに従いましょう。ポートレート(縦長)が一般的です。ランドスケープ(横長)もみたことはあります。大体サイズはA0かA1が多い印象です。紙も普通紙か光沢紙等選べます。光沢のほうが見栄えは良い印象です。ポスターはサイズの都合もあり、専用のプリンタで印刷する必要があります。
また、最近では折りたためる布に印刷して持ち運びを容易にしている人も見かけます。あれ、憧れます。曲がっても跡がつかないんでながーいバズーカ砲みたいなポスターケースを持ち歩く必要もない。
布製ポスターについてはこちら。
国際会議・国際学会発表用の持ち物。持ち運ぶポスター布・素材別比較
たまに見かけますが、口頭発表用のスライドを10コマ漫画くらいの要領で貼っている人もいます。個人的にはあまりお勧めしません。
口頭発表のものの直接流用が容易なので特に日本では多い印象を受けますが、聞いた限りでは印象はよくありません。
人は見た目が9割というように、ポスターも見た目が9割なのでしょう。尚ポスターはテンプレートがある場合もあるようですが、レアなようです。
http://www.funaifoundation.jp/scholarship/201507shinoharahajime.pdf
ポスター発表の様子。画像を探して、良い画像がなかったら、自分の過去記事やレポートを引用する荒業を利用。
ポスター発表のわきでは、企業や研究所がブースを出し就職あっせんなどを行っている場合もある。みてみるのも面白い。
追記:2016/07/11
これも学会形式により様々だとは思いますが、一般的に、ポスターの時間が割り当てられている場合には、その時間にはポスターの前に立っている必要がありますが、それ以外では立っている必要はありません。臨機応変に対応しましょう。
学会当日
学会はものによって様々ですが国際会議では一週間くらいに及ぶものも多いでしょう。
服装
ドレスコードは本当に分野によってさまざまです。物理や数学ではGパンでも問題ないというか、むしろそっちがドレスコード何じゃないかと思ってしまうほど。逆に企業が関係するようなところではスーツが多い様子。よって、とりあえずスーツを持っていけば少なくとも大失敗はないだろう。
宿泊施設
宿泊施設は、学会開催側がお勧めとして近くのホテルを予約できるようにウェブページから飛べることが少なくないです。さらにこの場合団体割引が使え、安い場合が多い。
ついでに同じ国際会議に参加している人がともに宿泊している可能性が高く人脈作りに適しているでしょう。
登録
通常受付に行くと、その国際会議のパンフレットや記念品、大体メモパッドとペンと手提げ袋のことが多い。ネームプレートなどがもらえる。ネームプレートにはロゴと、氏名、所属機関が書かれていることが一般的である。ネームプレートの中に懇親会の参加チケットやバウチャーが入っていることもある。
http://www.funaifoundation.jp/scholarship/201412shinohara.pdf
学内外のものをためていたらこんなになってしまった。この写真は去年のものなので今年はもっと増えている。
発表
さて、ついにあなたの発表の番です。発表自体も物によりますが、これについてもいろいろあります。
口頭発表
口頭発表の場合は、極論自分の時間に指定の部屋に行けばよい。通常点呼などはなく、割り当てられた時間に自分のPCを接続して発表を開始する。ただし、自分のセッションには早く行ってチェアー(司会責任者)に挨拶をして、前列の席に座っておくことをお勧めします。自分の発表の前に接続して、画面を切り替える設定のところなどさまざまである。会場にたどり着いたら自分の発表するセッションの前にどんなPC確認してみるのもいいだろう。
この際、動作確認テストをする部屋が設けられている会議もある。この場合、会場と同じコネクタとプロジェクタがあり、事前に動作確認をすることができる。
自分の発表が終わったら自由に立ち去ってよい。しかし通常セッション後に直接発表後の質問に来る人が多いので、少なくともセッション中は部屋に残っておくことをお勧めします。
ポスター発表
対してポスター発表は、大きめのホールにパネルがひたすら並べられていることが多い。自分の発表が含まれているセッションの時間の前に、自分の番号のパネルに事前にポスターを張っておく必要がある。ただしポスターを張って終わりではない。ポスターセッション中は、ポスターの前に立ち、歩いてくる人に研究内容の説明をする。これをやらないものは貼り逃げと呼ばれる。実際結構多い。差支えが無ければA4サイズのポスターを作っておくと配るのに便利である。
懇親会
さて、上記の発表まではいいものの、日本人で苦手な人が最も多いのは懇親会ではないだろうか。懇親会で固まっていたり、壁のほうで人と目を合わせないでたたずんでいる人を結構見かける。
前に参加したとき、そのように壁のほうでたたずんでいたり、一人でつまらなそうに座っているの人の大半が日本人だったときは、正直日本人として情けない気分がした。
基本的に相手もさまざまな人と交流したいはずだ。そうでなければ、なんでいちいちはるばる外国まで国際会議に来るんだろう。確かに実績にはなるが、私は懇親会のほうが重要に思う。
私も得意ではないが、大学内で毎週のように立食パーティを経験していたら結構なれたので、少々コツを紹介したい。
発表を聞いた人に話しかける
話しかけやすい人は、雰囲気でわかる。しかし、それでも話しかけにくい場合は、懇親会までに発表をしていた人を見かけたら、相手の発表について質問してみるのはどうだろう。おそらく相手は熱心に答えてくれるはずだ。人間用事があれば結構話せるもんです。その後は適当に雑談をふればよい。段々輪になってきたら、その周りの人にも目が合い次第、軽く自己紹介などをして話していけばよい。
懇親会の食べ物について
懇親会の食べ物について話すのは相当に難易度が低い。なぜならば相手も食べているので、ポジティブかネガティブかどうかは別として、少なからずの感想を持っているからである。
暇そうな人に話しかける
これは比較的難易度が高いですが、輪に入れずにふらふらしている人も話しかけやすい。おそらく相手も何かしらの話がしたいだろう。
こんな記事もあったので参考までに。
立食パーティに関しての連記事はこちら。
クロージングセレモニー
学会の終了式的な行事。各賞などがある場合は、大体ここで発表される。(帰る前のもっと早い段階の場合もある。本当に会議による。)もちろん賞などそもそもない会議もある。本当に会議によってさまざま。
終わりに
国際会議も、色々と得るものがあってお勧めです。特に学部4年、修士の人はいい経験だと思って積極的に参加してみてはいかがでしょうか?
役立ちそうなサイト
国際学会でポスター発表したときに参考にしたあれこれ | ウチナータイム@nk_ema
かしこい学会、エクスペディア
再刑しておきます。海外渡航予約にはエクスペディアが便利です。ほぼ全世界をカバーしています。「かしこい旅、エクスペディア」ならぬ、「かしこい学会、エクスペディア」
直前に「え!予約してなかった!」という場合でも大丈夫です。直前だと航空会社とホテルが空席・空室を埋める目的でさらに安かったりもします。ただ、安心のためには早めの予約をお勧めします。
なお、研究費利用の場合は別手続きが必要な場合もあるので、事前に所属機関に確認ください。