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公開日:2018年9月10日
更新日:2018年11月15日
どのような組織においても、「上層部」になると、国外とのやり取りが多くなるのは世の常である。コーフボールにとっても例外ではない。人数が少ない業界だと尚更である。今回ご縁があり、タイ王国のコーフボール協会のトレーニングイベントへ参加させていただける機会をいただいた。その模様をお届けしたい。
タイコーフボール協会公式サイト
会場
会場は、ブリラムラチャパット大学(buriram rajabhat university)https://www.bru.ac.th/
(Google Map)
ラチャパットというのは公立大学という意味なので、ブリラム県立大学という感じ。日本でいうところの横浜国立大学のような学校だろうか。国内線バンコク便のみが着陸するブリラム空港から車で約30分。タロイモやサトウキビ畑、ヤシの木に囲まれた、沖縄風の立地に位置する。
移動は原付バイクが大半。大学生もノーヘルでぶっ飛ばしている。
会場となるコートは、なんと屋外。インドアテニスコートのような雰囲気のコート。大きさが同じ40×20mのハンドボールコートにコーフボールコートが貼られている。
セッション
セッションは大きく3つ。
1.組織挨拶・講習会
2.基本練習
3.ゲーム形式の練習
組織挨拶・講習会
講習会らしく、スポーツ科学科の70人ほどの学生が、セミナールームに集まって、講習会から。タイコーフボール協会の関係者と、ブリラムラチャパット大学の先生方の挨拶。
何も知らずに来たものの、おそらく講師として紹介された様子。手を合わせて会釈をする挨拶を真似て、私もこんな感じに。
その後は、タイ語でひたすら何かを説明している様子である。とりあえず偉いであろう人の挨拶。
その後コーフボールのルール説明。ディフェンドや偶数ゴールで攻守交代など、トリッキーなルールが存在するコーフボールの説明。実際に言葉で説明しても、頭の上に「???」が浮かびそうなものである。正直言って、私も最初は苦しめられた。これを、実演しながら説明。タイ語分からなくても、状況から、何を説明しているのかが、すぐにわかってしまうスポーツの不思議。スライドの中も、図と数字しかわからなかったけれども、それだけで何を言っているのかは正確にわかってしまった。
横断幕の前で記念撮影。知らぬ間に、重役関係者のような扱いを受けている感じになってしまっている。
基本練習
コーフボールはコーフ(ゴール)にボールをシュートする数を競うスポーツ。ということで、基本練習は、シュート練習を中心に。コーフボールはバスケットボールのようにドリブルがないので、必然的に、パスとシュートの組み合わせを何種類もやるような練習に。コーフボールが足りないため、サッカーボールを使いボール数を補充していた。特に一歩下がりながらシュートを打つという状況に慣れていない人が多く、それが大変そうではあった。
それでもスポーツ科の学生。要領がよい学生が多く、何人かは教え込めば相当すごい選手になりそうな学生も散見された。
私も混じってシュート練習に参加。一緒に騒いでしまう習性は、いまだ健在のようだった。タイ式のダンスや現地の応援を取り入れていたら、相当に受けが良かった。
私はタイ語が出来ないので、英語で説明をしていた。聞いていたように、タイでは結構英語はできる人が多いようであった。タイの郊外でもこのような状況なのだから、教育レベルは相当高くなってきているのを感じる。
ゲーム練習
スポーツは、試合をしないと面白くない!途中からは、タイ人学生が代わる代わるコートに入って試合を行った。70人もいるとなかなか終わらない。(個人的には休めてよかったかな)
コーフ4
コーフボールには、一般的に国際大会が行われているもの以外にも、実は何個かルールがある。ひとつはコーフ4という片面で行う、バスケットボールでいう 3×3のようなルール。これは、ボールを取った場合にコーナーやハーフコートまでボールを運んで攻守が後退する形式なのでまだよい。「コーフ4 2ポスト」というルールが鬼門である。通常の8vs8のルールではなく、半分の4vs4の人数で、反対側のコートまでパスだけでボールを運ぶコーフボール。もはやこれはドリブルがない「きついバスケットボール」に他ならない。タイコーフボール協会はこのルールが好きらしく、ひたすら走っていた。通常ルールに慣れている私としては、バスケットボールのように、速攻で前に走る感覚を忘れてしまっている。
あ、足がついていかない・・・!人数が多いことが幸いして、途中からは見ているだけで済んだ。よかったよかった。
全体的に、タイでは、他のボールを投げるような球技をやったことがない人が多いのか、ボールの投げ方が独特な人が多い。下投げが目立つ。ラグビーをやっている場合には、捻って投げるのでなんとなく見ればわかるのだが、それとはまた違う。おそらくバドミントンだろうか?バスケットボールをやっている人は際立って、動きがよいように見えた。
タイでは、通常の名前がかなり長いため、ニックネームを付けるのが慣例となっている。以前のこのTシャツを着ていた関係で「ドクターコーフ」になってしまった。
まあ覚えやすかったからいいだろう。
おもてなし
タイスタイルのおもてなしは、日本では至れり尽くせりの「中国式」として知られるものである。とにかく丁寧で腰が低い。期間中も相当なおもてなしをいただいた。
お出迎え
なんとブリラム空港まで、大学のご一行の方が、大学のロケバスでお出迎え。スーツケースなどもお持ちいただいてしまった。この時点で私は「??」とすでに思っていたのは言うまでもない。ミネラルウォーターも無限に渡していただいた。
食事
食事の席では、料理が次々と出てきて、卓上の料理がなくなりそうになると、見張りの人が自動的に足していた。酒に関しても同様である。氷が入っているビールコップに、無限にビールがつがれて言っていた。
数日間で体重が増えたのではないだろうか?
タイの料理は、全体的に辛い。攻撃力が高い。ヒリヒリする。おいしいのは間違いないが、慣れていない人、敏感な人が行くと、食事を選ぶだろう。そんな時でも、そこまで辛くない料理までも用意していただけてしまった。至れり尽くせりである。タイの名物は一通り楽しんでしまったんではないだろうか。
地元のテラスレストランや、個室のディナーへ招待いただいた。
練習中
練習中も、床に座っていたら、学生が、椅子を持ってきてくれてしまったり、はたまたペットボトルのミネラルウォーターを持ってきてくれてしまうという、どこぞやの超VIP待遇を受けてしまった。内心「いやいや、そんな気にしなくていいですよ・・・!」という気分であった。
お土産までいただいてしまった。
学生からもエール?をいただき二日間だけとはいえ、名残惜しくなるほどであった。
最後の送迎でも、近くのChang Arenaというサッカースタジアムや、近くの遺跡への案内など、本当に至れり尽くせりの2に日間であった。
一言でいえば、浦島太郎が竜宮城で受けたのと同じような気分なんじゃないだろうか?
非営利団体・競技団体の運営に関して
株式会社が営利目的なのに対し、NPOや社団法人は非営利団体である。競技団体も例外ではない。
非営利な団体が、勢力を拡大するにあたっては、もはや団体上層部の人脈などのソーシャルキャピタルに尽きる。タイコーフボール協会は、定年で引退が近い体育系の教授が普及活動を行っているらしく、教育界への人脈がすごく、現役時代に培った地盤を上手く利用し発展させている印象を受けた。
このことから、非営利の競技団体は、利益重視でないことから、株式会社以上にソーシャルキャピタルの強さが如実に出ることを肌で実感することとなった。
そもそも、私が今回このイベントに招待いただいたきっかけは、タイに駐在している日本人コーフボール選手の信時盛人氏に招待いただいたのがきっかけです。
【 Profile 】(引用記事当時のもの)
信時盛人 -Nobutoki Morito- 29 歳(男性)。
コーフボール歴 3 年。大阪大学院工学研究科卒業。
卒業後、某総合商社就職。日本コーフボール協会普及推進部長を務めながら、代表選手としても活動。現在は、本業の関係でタイに拠点を移す。五輪競技を目指し、タイ協会の立ち上げに携わりながら、遠隔で日本の普及にも尽力。日本のコーフボール人口はここ3年で10倍に増加。さらなる飛躍を目指す。
世界唯一の男女混合スポーツ! – コーフボールの未来を担う商社マンの夢とは –
世界唯一の男女混合スポーツ! – コーフボールの未来を担う商社マンの夢とは -2017.2.13
本業でのネットワークを、上手く使えるような人材の抜擢が特に非営利団体では有効であることを身に染みて感じることとりました。
個人的な感想
個人ブログなので、一応個人的な感想を。個人的には、駐在員としてタイに滞在している信時盛人氏が、駐在期間を終えるために、一度来たらどうか?というお誘いをいただいた。ふと「ところで何でこんなスポーツやってるんだろう?」等と思うことはある。しかし、このようなユニークで貴重な経験が積めるという意味でも、コーフボールをやっていた甲斐があったと、思う今日この頃であった。
番外編 おもてなしと、詐欺のギャップ
さて、上記のような大層なおもてなしをいただいた後、タイのバンコクの観光をした。その際に、観光地「ワット・ポー」にて、観光客と思われるドバイから来たと自称するおじさんが、「寝ている大仏様はどっち?」と道を聞いてきた。大寝釈迦仏とは、こいつのことである。上記の頂いたスカーフをして同じポーズをとってみた。
さて、そのおじさんは「そういえば、今度日本に行くんだけど、日本円を見せてくれない?」とか言ってきた。
ここで財布を出す俺が馬鹿なのは、今思うとそうなのだが、その時には気付かず、財布を出して、日本円を見せてみた。
なれなれしく触ってくることや、いきなり1000円札の野口英世にキスし始めるおじさんに、危機感を覚え、他の札や財布からは目を離さずにしていた。しかしながら後で数えると、財布からタイ1000バーツ札が2枚ほど減っていた(6000円ほど)。
試しに検索してみたら、こんな記事があった。なんと全く同じではないか。
道やレストランの場所を聞かれる
ところで何人だと聞かれる?
日本人と答えると、冒頭のように「今度日本に行くが、日本円を見たことがないので見せてくれ」と言ってくる。
ここで財布から日本円を見せて渡してしまうと、手品のように目の前で見ているにもかかわらず、立ち去るときには何枚か抜かれている。
【注意喚起】日本円見せてくれ詐欺に引っかからないで
お金が減ったことに対して、苛立つ以上に、一応海外歴が結構長いのに、こんな手に引っかかってしまう自分へのふがいなさ。
それ以上に、前日までの超VIP級のおもてなしとのギャップの落差に、余計に精神的なダメージはデカかった。詐欺には気を付けてください。いやマジで。
状況によって人間の対応は変わるものの、今回の場合、言ってみれば「VIPの魔法は詐欺によって目を覚めさせられた」という認識も出来なくはない。観光地では特に注意が必要です。