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公開日:2016年3月21日
更新日:2019年7月15日
現在日本の高校を始めとした教育機関では、国をあげてグローバルな競争力をつけようとあの手この手を尽くしている様子である。スーパーサイエンスハイスクールの取り組みのひとつである、海外での研修もその目的で行われているものと見受けられる。
その海外研修では、決まって日本人で海外大学や企業所属の人と話をする機会があるようであり、私はそれで今回話すことになった。
高校生向けの発表として最適な内容
これは完全に私の印象ではあるが、いわゆる海外の名門校在籍の人は、全体的に「俺は成功者だ、すごいだろう」という、言ってみれば高圧的で、見方によっては聴衆を見下したような発表をする人が多いように感じる。
果たしてそのような発表を日本からはるばるやってきた高校生に行ったとして、 今後彼らが海外に出るためにモチベーションを上げることに繋がるような、個人としても、国家事業としても効果的な講演といえるだろうか?
もしかしたら人によっては、「俺も私も、あんなふうに威張りたい」と思う人も中には、いるのかもしれないが、おそらくそんな人は極稀であろう。
ただ、おそらく彼らからすれば、初の海外である可能性も高く、初めて接する現地の日本人である可能性も高い。そんな中で、「性格悪いな」と思われるような内容の発表はモチベーションを上げることには繋がらないのではないだろうか。むしろやる気をそいでしまう可能性すら高そうである。
私が個人的に考える、効果があると思われる発表は「自分でもやれば出来る」と思ってもらえるような内容を彼らに発表することであると思っている。
特に具体的な内容としては、発表を聞いている高校生と比較して、発表者が当時中高生だったとき、聴講している高校生よりも出来なかったことなどを語ることではないだろうか?そのような意図で行った発表はこちら。
その中で特に言いたいことを文章化したものがこちら。
こういった発表を行った結果、教員の方々からも、「成功談を話す人は多いが、失敗談を話す人は少ない。しかし失敗談の方が心には響くはずで非常にありがたい」とのことであった。おそらく少なからず効果はあったと思いたいところである。
現状のSSHの海外研修の難点
今回少々中をのぞいて思ったことは、各高校が独立して動いていて、効率という面では効率が悪そうである点であった。3月中の2週だけでも、知る限りでは2桁に届きそうなほど、独立して動いていた。
現状では各高校が独立してバスなどを借り個別に各見学コースなどを組み立てているようである。(おそらく旅行代理店なのだろう。)
http://www.hajime77.com/entry/Shiga-Science-Project2016
これを受けて、仮に研修先が例えば、イギリスではオックスフォードとケンブリッジ、アメリカではボストンとカリフォルニアなどであれば、同じ研修先を予定している高校同士は事前に連絡を取って一緒に動いたほうが効率的なのではないか。各校オリジナリティがあるのであればそれでも良いだろうが、少なくとも似たようなプログラムであれば、同時にやったほうが良いだろう。生徒にとっても普段絶対に会わないような日本の他の地方の似たような状況に置かれた生徒に会うのは、模擬試験のランキングで名前くらいしか見ないような競争相手やライバルの存在を目の当たりにするといった面などでも効果的ではないだろうか。
少なくとも受入機関側は、何回も同じことをやるくらいなら、集めてやってもらったほうが良いと思っているのではないだろうか。少なくとも私はそう思う。現に受入が許可されていた高校の他に、1週後の時期に申し込んだ他の高校は受入機関から断られている高校もあった様子。
これもおそらく他校との打ち合わせが難しいなどの事情があるのだろうけれども、もう少し体系化したほうが各校、国の事業、研修先の海外機関に所属する人々共に手間が省けるのではないか、と考えてしまった。
しかし、こういう風に統合すると旅行会社が儲からなくなる、などもあるのでしょう。まあこういう影響は言い出したら、キリがないけれども。
日本ツアー?
今回の発表が、高校の教師の方々から見た場合にも、生徒に良い影響があると感じていただいた先生もいらっしゃり、私が日本に滞在している際には彼らの高校へこれないかという話まで頂いた。(どこまで本気かはよくわかりませんけども。)
さてどこまで実現可能かは分かりませんが、もし私が少し話すだけで、高校生がやる気になってもらえるのであればこれほど嬉しいものはない。
実現可能かは分からないが、もしやるのであれば、移動距離や移動時間を最小限にするために、全国ツアーをやってみたいとちょっぴり思った。(いや、どこのアーティストグループですか、って感じだけど。)。そうはいっても、問題はいろいろある。問題をざっと列挙するとこんな感じであった。
- 費用
- 時間
- 人脈
費用
もし仮に私が超ボンボンで「お金?何それ?」と言ってしまえるほどに費用を気にしなくても良い人物であれば問題にはならないが、残念ながらそういうわけにはいかない。私は大学院生という世間的に見ても収入が少ない「職業(少なくとも欧米では労働者扱い)」についている。残念ながら無給でやるのは厳しいものがある。
時間
まずなんだかんだ日本は広く、各高校自体も離れている。移動時間を考えると相当なものだろう。そもそも私には本業の実験・研究があるので、そんなに長いこと日本にいるわけにもいかないのが現状である。仮に1日に2校ずつ回れば一週間で10校位はいけることになるが、そんなに簡単にいくのだろうか。
人脈
最後に人脈というのは、勝手に行って発表するわけにはいかないだろう。まっとうなつながりが必要となる。
終わりに
よって実際に発表するのは難しそうだということで、今回英国研修の選考に漏れてしまったり、そもそもSSHなどの制度に通っていない高校生などがネット上で動画で見てもらえればいいな、と思ったために、Youtubeにアップロードしたという側面もあります。