
公開日:2016年4月18日
更新日:2019年7月21日
地球温暖化の深刻さに注目され始めて久しいですが、最近では、一次燃料を使わず、再生可能エネルギーなどの資源に頼らない方法などと同時に、サステナビリティ(持続可能性)と呼ばれています。そのSustainable Energyのバイブルと呼ばれるような本がこちらSustainable Energy without the hot air.
Sustainable Energy – Without the Hot Air
- 作者: David J. c. Mackay
- 出版社/メーカー: Uit Cambridge Ltd.
- 発売日: 2009/05
- メディア: ペーパーバック
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- 作者: デービッドJ.C.マッケイ,村岡克紀
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 2010/10/28
- メディア: 単行本
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本書は、エネルギーの現状と特に世界とイギリスに注目して書かれています。すべてのエネルギーの端的に言えば、足し算と引き算で考えていくような感じです。「物理学者はシンプルに考える」を体現したような本です。
内容としては非常に密度の高いものですが、専門知識は全くと言っていいほどいらず、ものすごく読みやすい本です。尚この本は購入する必要がなく無料でダウンロードできます。著者の意向でPDFファイルが無料でダウンロードできます。
Prof. Sir David John Cameron MacKay, FRS, FInstP, FICE
さてこの記事はこちらがメインです。
この著者、ケンブリッジ大学の物理学・工学の教授で、前イギリスDepartment of Energy and Climate Change(日本でいうところのエネルギー庁?)の科学アドバイザー長です。ウィントンのメインアドバイザーでもありました。Regius Professor of Engineeringという名前が付いた教授職(相当な功績でないと選ばれない)この関係で比較的よく知る人物です。彼の功績はWikiにふんだんに書いてありますが、コンピュータサイエンスと持続可能性の著名な人物です。
David J. C. MacKay – Wikipedia, the free encyclopedia
Sustainable Energy – Without the Hot Air with David MacKay
自分の家で実証実験をしたりなど。
Cambridge Ideas – How Many Lightbulbs?
おそらく生前最後のトーク。
Wooden blocks and rails – David MacKay
Wikiには書いてないですが、彼はアルティメットフリスビーも非常に上手で、90年代の世界大会のパーカーを着ていたことからも、恐らく元イギリス代表の可能性も高いです。2年ほど入っていたケンブリッジ大学アルティメットフリスビークラブStrange Bluesの先輩であります。一度練習に行ったときに、いらっしゃり、ディスクのパス練習も行いました。
エネルギー節約ということで、どんなに偉くなっても自転車通勤。
Cambridge Ultimate:
初めて彼にあったのは2012年にインターンでキャベンディッシュ研究所を訪れたとき。彼も同じテーブルで持続可能性に関する話をするというものに参加させていただいた。今思えば「本物のすごい人は、実績があっても謙虚なんだな。こういう人たちと働きたいな」と心から思って、ケンブリッジ進学の主な決め手ともなった人物です。
確かその際も、私が日本人だと知ると、彼が「この本、日本語版もあるよ!」って言って見せてくれたのを今でも覚えています。
ウィントンメンバーにはサイン入りのこの本を配布しており、いただきました。
talks.cam : Battery Technology
ノーベル賞輩出数最多研究所の特待生制度に採用されるには? – はじめのすすめ
大変残念なことに、2016年4月14日にガンで亡くなりました。実は先日の記事は、この先生の話です。こちらは1か月前の会議なのですが、彼は非常に元気そうで、だれも末期がん患者とは思えないほどの様子でした。
先生がSir(サー)の称号を授与された記念をしたシンポジウムが隣の建物で開催されたので参加してみた。【ケンブリッジシンポジウム】 – はじめのすすめ
末期には自分のブログページでガンの症状や治療経過を公開していました。
さらに「プレゼントをくれるならこちらに寄付基金を立ち上げたからこちらに寄付してくれ」とファンドレイジングまで行ってしまう彼。
David MacKay is fundraising for Arthur Rank Hospice Charity
人間的にも愛されていたようで、”Truly good man”など、コメントも素晴らしいものが多い。非常に人格者で、私たちのような学生にも丁寧に教えてくれたり、発表にコメントをいただけたりと、人間的にも目標としたい人物でした。ご冥福をお祈りいたします。