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公開日:2018年11月2日
更新日:2019年7月15日
分かりやすい説明には、相手の分かるたとえ話をすることが重要である。というのは以下の記事で言及した。
この記事では、「どのようなたとえ話がよいか?」についてみていきたい。
そもそも何故たとえ話?
そもそも何故たとえ話が必要なのだろうか?
専門的な話は、往々にして、込み入った内容が多くなる。込み入った内容は、日常生活からは想像もできない現象や概念を使って説明していることが多い。
そもそものもとになっている概念がわからない場合に、どう足掻いても分かることはないだろう。
「そんなことがわからないなんて、あいつは馬鹿すぎる。ありえない。」といって一蹴するのは簡単だ。
しかしそれでも、あなたはそんな「馬鹿すぎる、ありえない」人に説明をしなければならない。避けては通れない。
どうすればよいだろうか?そのまま説明しても、わかる・わからない以前に、分かろうとすらしないだろう。
わかってもらうには、相手が分かる概念を用いて、その中ではどういうイメージ、と言えばまだ分かりやすいだろう。
また、3分プレゼンであれば、時間の節約にもなる。3分では1秒も無駄にできない。1センテンスも多く話している余裕はない。
分かりやすいたとえ話
では、たとえ話がいい、ことが分かったところで、その分かりやすい「あ、なるほど」と感じるたとえ話は何だろうか?
その答えの一つは、異なる2つの共通点を見出すことである。
共通点といっても、見た目のままの特徴では意味がない。
リンゴとかけてトマトと説きます。
その心は、どちらも丸くて、表面が赤いです。
といったところで何の関心も得られない。
AIの機械学習による画像処理ですら、すくなくともこれよりは、もっと洞察的な特徴量を抽出するだろう。
見た目の特徴ではなく、構造に注目する必要があります。
かといってパッといい例が思いつかないのが心苦しい限りだが、ここは例によって低次元量子フラストレーションで行こなっておこう。
人間は状況によってフラストレーションがたまり、イライラしますが、なんと物質もイライラすることがあります。
イライラした時の良い解決方法は、イライラする相手との距離を取ること。
早速実験してみましょう。(グラフを使って)物質も、お互いの距離を離すとイライラ度が下がります。
ね、似ているでしょ?
実はこのフラストレーションは、物性物理の専門用語で・・・
見た目が一緒ではなく、物事の相互関係に通黙していくと「ああ、確かに」っていうようなことがいろいろある。
個人的にもこれを考え始めてから、世の中のいろいろな構造にばかり目が向くようになってしまった。
分かりやすいたとえ話の題材
さて、たとえ話がよかったとしても、相手が分からないのであれば、伝わらない。聴衆の業界の常識に合わせて調整していくのが有効である。
おそらく最も安全なのは、文化や業界、国籍などに依らない、人間の行動心理を使うものが、安全で汎用性が高い。
何故ならば、生理的な欲求は、人間に共通するものだからだ。誰にでも当てはまる。占いのようなものだ。
他にも、マズロー心理学の低次元欲求などでも汎用性は高い。
これも相当に奥が深いが、ここを掘り下げていくには、また別の記事を要するだろう。
ドレスコードに服装を合わせるように、プレゼンの表現を調整していく
どの程度までかみ砕いて「分かりやすく」説明する必要があるかは、聴衆に大きく依存する。
これはいわば、ドレスコードに合わせて、服装を変えていく状況に非常に似ている。
タキシード指定のパーティに、ジャージの短パンであれば浮くどころか入場を断られる。一方で、スーツでスポーツジムのランニングマシンで走っている光景は、それはそれは奇妙。おそらく注意される。本人は同一人物でも、服装次第では、全く別のものに見えるだろう。
物理学の国際会議で、グラフや専門用語を一切出さないプレゼンは受け入れられない。よっぽどのことがない限り実力を疑われる。一方で、一般市民向けの公開講座で、専門用語一辺倒だと、帰りだす人がいるとか、アンケートを確認するのも恐ろしいほどの酷評が山のように溜まるに違いない。
プレゼンにおいても、「スマートカジュアル」が最も難しいのも、同様である。
経験上、アウトリーチプレゼンは、「ラフ目のスマートカジュアル」くらいの専門性感のプレゼンが印象が良い。専門的な雰囲気が残っている一般向けの発表である。
相手の業界と理解レベルに合わせて、適切なたとえ話が出いれば「ああ、こいつはわかっているな。」と、全体的な印象もよくなるという付加価値も付いてくる。