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公開日:2017年9月11日
更新日:2019年7月21日
プレゼンテーションによって、意見交換をすることは、既に世界の常識になりつつあります。
プレゼンテーションのコツはいろいろあると思います。特に同じ専門分野・業界内での発表と、アウトリーチと呼ばれる、全く分野外の人に対しての発表は大きく異なります。
意外かもしれませんが、簡単に説明する方が難易度が高いです。
サッカー通や監督同士の間で、サッカーの新しいフォーメーションを紹介するのは、「え、サッカー?手を使っちゃいけないんでしょ?」くらいにしか知識がなく、さらに興味もない人に、新フォーメーションを説明するのが難しいのは、想像に難くないでしょう。
今回はその中でも、アウトリーチ一般についてのコツについての考えをまとめていきたいと思います。
アウトリーチ・一般講演のコツ
まず、これを考えるきっかけになったのは、船井情報科学振興財団の年次ミーティング@ボストン(後日アップします。)での、村山斉さんの講演です。
村山斉さんは経歴的にも凄すぎる方です。カリフォルニア大学バークレー校の冠教授です。
http://physics.berkeley.edu/people/faculty/Hitoshi-Murayama
https://en.wikipedia.org/wiki/Hitoshi_Murayama
発表自体はダークマターと宇宙物理学という聞くまでは、なんともとっつきにくいテーマでした。
しかし村山斉さんの発表は非常にとっつきやすく分かりやすいものでした。2時間ほどの時間も最後まで集中して聞くことが出来ました。
TEDトークなども上がっているので参照ください。
さて、何故分かりづらく、とっつきにくい分野の発表でも、分かりやすく聞くことができたのでしょうか?
3分プレゼンへのアドバイスをいただいたダボス会議の登壇者先生などの発表を参考に、の個人の経験も踏まえ、分かりやすく話すコツをまとめていきたいと思います。
親近感を持たせる
これは、特に発表者が高名な場合、聴衆が構えてしまうこともあるかと思います。これに対しては、登壇者も失敗談を話すなど、親近感を持たせることが重要です。
今回は先生が特に大学院生くらいの年齢だった際の話を多めに取り入れていました。
ただし、これは前提として「聴衆が、登壇者を高名だと捉えている」という前提があります。仮に「そうでもない」と思われている人が、失敗談をひたすら話していると「この人、全く成功していないんじゃないか?」と思われたりなどして、逆効果になりえます。
アナロジー・類推・たとえ話を多用する
とっつきにくい概念は、たとえ話が有効です。
がんを治療する・地球温暖化を解決するのような分かりやすいテーマの場合には、比較的説明はしやすいですが、物理や数学のように一般になじみがなく、難解で、とっつきずらさが全開のものは、たとえ話が非常に役に立ちます。
分かりやすい例で行くと、モノがぶつかったとき、どう動くかについて話すのであれば、ビリヤードの例はどうでしょうか?
例えば、物性の状態相図を説明した際に使ったたとえ話です。
もう少し材料には、どのような温度でどのような状態になるかを示す「状態相図」というものがあります。状態相図は「地図」のようなものです。
私たちは、冒険に出かける時、地図を持っていくでしょう。今ならGoogle Mapでもいいかもしれません。しかし、スマートフォンも地図も持たずに出かけると、恐らく遭難します。
いずれにせよ、どこに何があるかを分かった状態で行く方が安全ですし、効率的です。
材料も同様です。どこで何が起きているかを、地図のように平面でマッピングしたものが役立ちます。特に新しい材料はこれが顕著です。得体のしれないものを扱うのは危険です。
私もフラストレーション系物質の説明の際に「人間のイライラとフラストレーション」に例えて説明をしました。
(こんな先生の前で30分話すというのは大変貴重でしたが、少々手が震えていました。)
重要なのは、たとえ話は、大半の人が知っているものである必要があります。
むしろたとえ話が分かりにくかったら、むしろたとえ話は逆効果で、さらに説明は難解になってしまいます。
大半の人が知っているものと言えば、日常生活にかかわるものです。
文化背景を考える
たとえ話に際して、注意点があります。文化背景によって、だいぶ常識が違います。
常識が違えば、笑いのツボも共感点も異なるので、注意が必要です。本当に。
例えば、宗教の関係もあるので、ステーキの話とかは極力しない方がいいでしょう。世界にはベジタリアンも多数いますので。
それでも日常の、ものを無くしたエピソードや地図の見方など世界で共通しそうなものは有効です。
本質的に最も重要なのは、分かってもらおうという姿勢
最後に、アウトリーチ発表における現状での結論は、「分かってもらうという姿勢」です。
ん?と思った方、すいませんちょっと説明が不足しています。
分かってもらう姿勢があれば、「どうやったら分かりやすいだろうか?」と少なからず試行錯誤します。
ずっと黒板に向かって振り向きもしない講義をする教員とは一線を画します。
最初は差が小さいかもしれませんが、何度もやっているうちに歴然とした差になります。
ここで、この有名な式のようなものです。
https://www.quora.com/Is-the-beginner-stage-really-a-difficult-stage-of-competitive-programming-or-it-is-seeming-so-for-me
分かってもらう姿勢がない場合には、0.99ではなく、1.00であったとしても、37.8-1.0=36.8の差がつきます。
メディアや個々の興味が分散していく中で、自分のやっていることの面白やさ重要性を説明する能力は、今後重要になっていくと思います。
もちろん自戒を込めて、私も分かりやすい発表や文章(このブログも)を心がけていきたい。
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この記事では、大まかな傾向を述べました。具体的なテクニックについては、こちらの記事の3分プレゼンのコツが一部参考になるかと思います。
3分プレゼン/スピーチのコツ!ネタや構成,スライド,文字数まで
他にもTEDやFalling Wall等の動画は、参考になる発表が多いです。