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公開日:2017年3月12日
更新日:2017年3月12日
イギリスの大学には、日本と同様に各地区予選を勝ち抜いたチームを対象に、全国大会が開催される。勿論場合によってはリーグの場合もあるが、それは競技によってまちまちである。今回は私が出場したコーフボールの全国大会について述べる。
今年の参加チームは63チーム。毎年順調に増えている。ローカル大会での勝者が地方大会に進み地方大会の勝者が全国大会に参加できる。全国大会の参加枠は16枠。各地方大会の4位までが出場できる。個人的には今回で3回目。毎度毎度メダルまで惜しいところまで行っているのにあと一歩で届かず。どうにか今年はメダルに届きたいところである。
こちらの記事で書いたように、ケンブリッジは東部・南部地方大会を決勝でイーストアングリア大学(University of East Anglia, UEA)に敗れ2位で通過。ケンブリッジ大学はグループB。第2シードでの参加。他エリアの1,3,4位とグループステージを戦った。
今回の登録メンバーは男子6人、女子5人。試合は男女4人ずつ8人で行うので、男子が2人、女子が1人控え選手である。最大登録人数は12人である。ケガ人が女子2人以上、男子3人以上でなければ問題はない。よっぽどのことがない限り、普通はそんなことにはならない。
気合十分で大会に臨んだ。
1日目
第1試合はブリストル大学(University of Bristol)と対戦。去年4位だが、何人かが卒業している。立ち上がりから6-1と非常に押していた。これは余裕だろうと感じているときに事件は起きた。チームの女子が1人足を捻挫した。サポーターをしていたがそれ以上に捻ったようである。主力のメンバーであったのでチーム一同気が動転していた。控えで入った子とは組み合わせ的にあまり経験がなかったなど様々な要因で変なミスが頻発する。個人的にも痛めていた足が痛くなってきていた。
結局徐々に追いつかれながらも残り1分で8-7と逃げ切りを試みるも、最後の最後で相手のゴールが入り、同点。負けていないのが幸いか。捻挫した女性は酷いようで、今大会は参加できなさそうである。ベンチで涙を流しているのがちらちらと目に入った。これで代えがいなくなってしまった。もう1人女性が怪我をすると7人で試合をする必要が出てくる。
コーフボールでは、人数が8人いなくても試合をすることができる。例えばオフェンス4人に対し、ディフェンスが3人の場合は、特定の選手がシュートする権利がなくなる。指定した選手がシュートを打つとディフェンスをされている状態でシュートを打ったファールと同様に、相手ボールになる。これはスターティングメンバーの時点で欠けていても同様である。
2試合目の相手はバーミンガム大学(University of Birmingham)。こちらは中部地方大会を1位通過している。それは例年のことだが、大体そこまで強くなく、大体最終的に7-8位というのが通例である。ただ今年はいつもより強くなっていたようである。全体的に背が高い。
先制されて直後、そして悲劇が起こった。女性2人目が怪我。よって上記の7人の試合になった。シュートが打てないといっても、リバウンドがひたすら取りづらくなる非常に不利な状況になるので、ひたすら心身ともに疲弊する。最早戦意喪失である。この試合の商家のような雰囲気の中、ひたすらシュートを打たれるという相手のシュート練習をしているような試合に。試合時間は前後半で40分であり、実質的には20分ほどであったと思うが、もう何時間にも感じられるほどであった。早く終わってくれ、とも思っていた。そんな試合で勝てるわけもなく、呆気なく負けてしまった。
第3試合は数時間後にランカスター大学((Lancaster University)。北部に位置する大学である。一般的な傾向として、「イギリス北部は強くない」という通例がある。コーチも7人でも勝てるでしょう。とか言っているくらい。結局冷やしていたら、出ることができたようで、8人で試合。と言っても動きは鈍い。結局終盤まで3点差くらいで勝っていたが、ラッキーボールで最後の最後に追いつかれ、1点差で勝っている状況に。時間を使って攻める作戦に出た。しかしながらゆっくり攻めたのちに、最後に味方シュートを打って決めたものの、その直前にTime wastingとして笛が鳴っており、結果相手ボールになった。その後相手のシュートがほぼまぐれ以外の何でもないようなシュートが入り同点に。落胆する私たちを横目に、相手は飛びはねて喜んでいた。
結局2分1敗の結果3位でグループステージを終えた。
1位のチームは他のグループの2位と、3位は、他のグループの4位と戦い、その勝敗で1-4,5-8,9-12,13-16位に割り振られることになる。
この時点でメダルはなくなった。しかしながら、
ケンブリッジ大学からは「オックスフォード・ケンブリッジの対抗戦にスターティングメンバーで試合に出場し、かつ全国大会で10位以内」になれば、称号を貰うことができる。
個人的にはすでに貰っているのでどうでもいい。しかしながら、一緒にやってきたメンバーの受賞がかかるとなると死活問題である。どうしても10位以内に入る必要がある。そのためには次の2試合は何としても勝たなければならない。それも7人で。
4試合目はスコットランドの名門大学 セントアンドリュース大学(University of St. Andrews)。例によって「北は強くない」という傾向にのっとり戦う。こちらは7人。足の痛みも試合ごとにまし、結構限界が来ていた。幸いなことに7人相手の攻め方に慣れていなかったようで、うまく利用できていなかったようだ。確か終始リードし15-10位で勝利した。
1日目はこれで終わり。心身ともに疲弊する日であった。
2日目
朝起きる。すでに怪我と筋肉痛で体中が痛い。あと一試合…。と思いどうにか奮い立たせていた。
第5試合はケント大学(University of Kent)。これに勝つと10位以内が確定する。引き続き7人での試合である。普段のリーグ戦の相手や全国大会でもトップレベルのチームを相手にしているわけではなく、いわゆる負けチーム同士の戦いである下位リーグの相手であることを実感した。これも危なげなく勝利。この時にメンバーの称号が確定されて、大会もまだ1試合あるのに、もう大会もシーズンも全部終わったかのように、すべての力が抜けた。
こうなればもう、最後の試合はぶっちゃけ負けてもよかった。なんだかんだ7人での試合が多かったので、控えの選手はなかなか出場機会がなかった。これはもう絶好の機会だと思い、コーチに「個人的には、最終戦は、もう負けても何でもいいんで、できるだけ控えだった人を出してあげたらいいんじゃないでしょうか?」
第6試合、9,10位決定戦。マンチェスター大学(University of Manchester)。最後も7人で試合。コーチは勝つ気ではいたものの、「楽しみましょう」という感じでいた。これもまあ安定してリードをしており、比較的早くに控え選手の出番ができた。私事ではないのに、彼らの出場機会が多かったことが、とても心地が良かった。
結局9位で大会を終えた。2年前、1年前はともに6位であったことと比べると、ランクダウンしているがもうなんかどうでもよくなっていた。大半の試合を7人で行い、6戦3勝2分1負。そこまで悪い結果ではない。結局、地方大会の決勝で戦って僅差で敗れたUEAが全国大会を決勝18-11で勝利し制覇した。3位は2試合目でバーミンガム。このチームは私たちがダブルスコアで勝ったノッティンガムと引き分けていた。ノッティンガムは結局6位。ブリストルが5位。こう考えると、ケガ人が出ていなかったら、本当に銅メダルが取れていたのではないか?と心残りはある。
コーフボールは男女混合のスポーツなので、片方だけ強くても勝てないことを痛感した。現に今年も優勝したUEAに対して、「ケンブリッジは男側は相当なアドバンテージ」と言われていた。それでも女性主体で回されると弱点が露呈してしまうようであった。
結局3年間、ベスト4は確実とか、優勝候補とかSNSに投稿されたり、コーチが他のコーチや協会関係者から言われつつも、一度も、一大学のメンバーとして目標としていた全国大会のメダルには結局届かなかった。今後人生の違うところで、違う形で「メダル」が取れるように頑張っていきたいところである。
それでも一緒に取り組んでいた人たちが称号を得られたこと、全員試合に出られて良かったという意味では、有終の美を飾れたように思う限りである。満身創痍でボロボロであったが精神的には満たされていた。
個人的にも、地方大会やクラブでの試合などで対戦したことがある人が増えてきた関係もあって、様々な大学のプレイヤーや審判にまで覚えられており、「お前、勝った?負けた?」とか「さっきの見てたよ!素晴らしいゴール!」とコメントを貰ったりと、こちらでも徐々に名を馳せてきた感はあった。何位になるだとかよりも、こういう方が重要だとも感じている。
関節を中心としたケガと、筋肉痛により次の週はコーチにも勧められて休んだのは言うまでもない。
https://www.englandkorfball.co.uk/uea-win-bucs-korfball-gold/