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公開日:2018年11月5日
更新日:2018年11月7日
オランダ語でバスケットを意味するコーフ。しかし、バスケットボールとコーフボールは、一見似ているが、実際結構異なる。
この記事では、バスケットボールと比較しつつ、コーフボールの基本的なルールと戦略をまとめていく。本記事においては以後、特に記載がない場合には、バスケットボールとの比較である。
基本ルール
基本的なルールをまとめる。
コート上のどこからシュートを決めても、全て1点。ペナルティシュートなどでも1点。
ショットクロックは25秒。ボールがフロントコートに入るとクロックのカウントダウンが始まる。コーフにボールがヒットすると、ショットクロックはリセットされる。よってボールがフロントコートに入ってから、セットオフェンスに25秒使えることになる。
コーフボールのコートはこちら。
(Wikipedia) (この図だと、コーフの高さは3.0mになっているが、実際は3.5mである)
コートは、オフェンスコートとディフェンスコートに分かれている。1チーム男性2人女性2人が同じコートに入り4vs4を行う。異性へのマッチングは禁止されている。
オフェンスとディフェンスのコートは明確にわかれており、担当しているコートと逆側のコートへ入ることはできない。
両チームの得点が偶数点になるごとに、担当するコートを入れ替える。
「ディフェンド」という、ディフェンスが、オフェンスとコーフの間に立っており、かつ、ディフェンスがオフェンスに手が届く距離で、オフェンスの方を見て守っている状況で、オフェンスがシュートを打つと、オフェンスのファウルというルールが存在する。
基本戦略
コーフボールでは、フロントコートへボールが入ってから、ショットクロックが始まる。いわゆる速攻が無い。よって基本的にすべてセットオフェンスになる。
コートでは、コーフ付近に2.5mの円がある。上記図面左側のコートにはFreepass Circle, Penalty area と書いてあるがこれは、フリーパスとペナルティという特殊状況に使うものである。(こちらの記事を参照ください。コーフボールのファウル・リスタート・フリーパス・ペナルティについて)
これらを以外の状況の場合、要するにオープンプレイ状態の時には、事実上戦略に関係するコーフボールのコートはこちらになる。
要するに、コーフとコート以外のラインは何も関係がない。20メートルの正方形内に、コーフがあるだけである。この関係で非常に対称性が高く、コーフを中心とした6.67mの円内では、コーフに対して360度、回転対称性がある。(回転対称、シンメトリーのこと)これを踏まえて、作戦を組み立てていく。
コーフボールのセットオフェンスのフォーメーションは、コート上で「コーフから見て遠くにいるプレイヤーの人数」から「近くにいるプレイヤーの人数」であらわすことが多い。多くの場合2つの数字か3つの数字である。
4-0 (4-0-0)
コーフの外側に、4人で90度ずつにコートを分けるように正方形(長方形)状に4人で開いておく。90度の4回回転対称。4人ともポジションとして対等な位置にいる。
バスケでは、セットオフェンスの際に、組み立て開始の際に、インサイドが3秒ルールを警戒して、5人ともスリーポイントラインの外に出ている状況に近い。
この形を人数を数字で表す関係で4-0という。正確には4-0-0だが、人数は4人しかいないため、他の組み合わせの可能性がない。かといって「4」というと何のことかわからない。よってこれで問題がないのだろう。
3-0-1 (3-1)
コーフボールは、特性上、シュート率が低い。このために、オフェンスが味方の打ったボールを取れるよう、リバウンドが必要になる。
4人のうちの1人が、リバウンドのポジションをとると、フォーメーションが4-0から3-0-1になる。
リバウンドのポジションは、細かいことを言うときりがないが、ディフェンスよりもコーフの側に入り込むのが理想とされる。3秒ルールが無いので、ずっといても構わない。そもそもペイントエリアが無い。
残りの3人で、大体120度ずつにエリアを分け、三角形を形成する。ここも120度3回回転対称である。3人は、ボールの位置を変えれば同じポジション。
バスケットでいうところの4アウトのローポストにセンターがいる状況に対応する。
これでリバウンドがいる状況になったので、シュートを打っても高確率でリバウンドを見方が拾える状況が出来た。
3-0-1の3の側のプレイヤーは、ディフェンスを振り切れれば、シュートを打ってもよい状況である。
なお、全く同じ意味で3-1ということもある。
2-1-1 (2-2)
シュート確率を考えれば、シュートはなるべくコーフの近くから打ちたい。しかしコーフボールには、ドリブルが無い。よってパス交換で攻めるしかない。さらにディフェンドのルールがある。なるべくコーフの近くでシュートを打つには、ディフェンスを抜くしかない。
よって問題は「ではどうやってディフェンス抜くか?」に帰着する。
ここで効いてくるのが、ポスト(フィード)と呼ばれるエリアである。外側の選手と、内側に入り、攻撃側の選手にパスを出す役割が重要である。ここに選手が入ると、フォーメーションが3-0-1から2-1-1に変化する。
ここにプレイヤーがいると、パス交換で、コーフの近くに行くことができる。外側のプレイヤーへのディフェンスも、オフェンスに抜かれることを警戒し、下がらざるを得ない。ここで下がると、今度は、アウトサイドシュートは打ちやすくなる。
このフォーメーションからは、得点の可能性が高い。
理想を言えば、同姓プレイヤーによるカバーリングが出来ないように、2-1-1の「2」の性別をそろえた方がよい。
バスケでいうところの、ハイポストとガードのパス交換のイメージである。
なお、インサイド・アウトサイドという意味で、2-2ということもある。
以上がコーフボールの基本的なフォーメーションである。これと対応して、ディフェンスはこれを防ぐように行動する。
また、コートはコーフに対して360度回転対称なので、エンドライン側でもサイドライン側に組み立てても問題ない。むしろ状況に応じて積極的に組み立てるべきである。
ポジションについて
上記のようにコーフボールは大きく分けて3ポジション存在する。
先述のように、コーフボールは、非常に対称性が高い。この関係で全選手が全ポジションをできることが理想である。バスケットボールでいうところの「ポストアップし、リバウンドが取れ、出来れば背の高い、スリーポイントシュートが得意なシューティングガード」が理想である。
よって、コーフボールには要所要所で高い対称性が存在する。この対称性をなるべく高く維持しておきたい。対称性が高めるためには、各選手が多くのことをできないといけない。さもないと、対称性が崩れ、選択肢が減っていく。例えばリバウンドにしか行かない人が1人固定されていると、残りは3人である。このときにポストに1人入るとすると、組み合わせは3通り(1×3×2÷2)しかない。一方で、全員がリバウンドに入る場合には、12通り(4×3×2÷2)の組み合わせが考えられる。同じ選手が、同じ位置を担当していたのでは、ディフェンスが守りやすすぎる。よっぽどのことがない限り、回すようにしたい。
いかに相手の選択肢を減らし、自分たちの選択肢を多いまま維持するかが重要になる。