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公開日:2021年10月2日
更新日:2021年10月2日
昨今、様々な批判が出ている。入試や特任准教授等多岐にわたるが、批判が出ている事柄は、実は根本は同じなのではないか?という話である。
本音と建前の乖離・広告と真実の乖離
が主である。
なお、インタビューをしたわけでもなく、ネットからの情報や筆者の肌感覚によるものであるので、実証することは出来ない。予めご了承いただきたい。
表向きの発表と裏の実際の乖離
公に発表されているものと、いくつかは言質が取れないため、ネットの記事などによる状況証拠に留まる。
ラグビー日本代表選手の医学部合格
あるラグビー選手が、日本でも有数に難しいことで知られる有名な私立大学の医学部にほとんど勉強している形跡を残さないまま試験に合格し入学したというものである。状況証拠から行けば、おそらく一芸入試や一部推薦入試・裏口入試のような可能性が極めて高い、ということから、批判が上がっていた。
福岡堅樹さんが裏口だと思う点。
私立医学部は複数受験が当たり前なのに順天堂大学医学部専願な点。
誰もが欲しがる東京都枠の10人に何故か福岡さんが入っている点。
在校生の間で昨年の10月くらいから福岡さんが来年入学してくると噂になっていた点。
他にも様々怪しい点に溢れてる点。— まさひろ@勉強垢 (@medical_study1) September 28, 2021
【裏口?】福岡堅樹に医学部不正合格10の疑惑!順天堂大学が一般入試で増枠? – TREND WEB
しかし、報道のスタンスでは、一般入試で受験して合格したというスタンスを取っている。
大学院修士中退のクイズプレイヤーが特任准教授に着任
大学院の修士課程を中退しているものの、東北大学の特任准教授に着任したという話である。
本日付で、東北大学グリーン未来創造機構の特任准教授(客員)に就任いたしました。身に余る大役を拝命しましたことに、改めて襟を正す思いです。おそらく私が一番驚いています。
学生の皆様と建設的な取り組みができますよう努力して参りますので、よろしくお願いします。https://t.co/gvk9uoJDPD pic.twitter.com/gPzkLcqiA3— 伊沢拓司 (@tax_i_) October 1, 2021
これに対して、博士課程を経て、ポスドクを経ている、いわゆる研究者方面の人たちからは、東北大学に対して批判が上がっていた。
何であれ世間は「東北大の准教授」と研究者が死に物狂いで欲しい役職と同等に認識する。特任准教授としてどんな研究がどう評価されたかが見えないと研究の道を志す学生や研究者は萎える。もし、研究外の活動が評価されて特任准教授になれるなら明言して欲しい。研究してるだけじゃダメということだから https://t.co/bsThtlJDa8
— 武田 紘樹 (@tomatoha831) October 2, 2021
有名人が東北大の特任准教授になったニュースがあったけど、こういう感じで職位を出す日本の大学の感覚は理解できません。自分で自分の組織の価値を毀損してると思います。まともな海外の大学は実務家教員にそういう肩書の出し方はしないと思います。
— mh (@66mh) October 2, 2021
「AI」によるオセロの勝敗
あるクイズ番組で、AIと人間の対決を行っていたが、実は制作側が誰を勝たせるかを設定できる構造になっていることが指摘されていた。
人気番組『頭脳王』で東大医学部の河野玄斗さんがストレンジオセロで優勝!→しかしオセロ有識者がヤラセを指摘する事態にhttps://t.co/h7y0J7Q6bS
— オレ的ゲーム速報@刃 (@Jin115) February 21, 2021
人気番組『頭脳王』で東大医学部の河野玄斗さんがストレンジオセロで優勝!→しかしオセロ有識者がヤラセを指摘する事態に
拡散希望。以下の図はAIの完全解析結果。もとから黒必勝の局面設定なのでヤラセしたい放題。ちなみに京大の人はAIが2石損のみの鬼設定、河野玄斗には14石損してくれる甘々設定。AIの作成者はランダムに打つ仕様だから問題ないとかほざいてるけど、そもそもAI必勝の局面に設定するのが間違い。#頭脳王 pic.twitter.com/oQKKgFebgs
— yuki_cnv (@cnv_yuki) February 19, 2021
医学部における女子生徒の点数の減点
少し前だが、医学部の入試において、女子の点数を一律に減らしていたというものもあった。
【医学部入試】順天堂大、女子を一律に減点「コミュ力が高いため補正」https://t.co/CS0rtT9FPj
2次試験では「女子はコミュニケーション能力が高いため、補正する必要がある」として点数を一律に下げていたという。 pic.twitter.com/NWyzCnb8K3
— ライブドアニュース (@livedoornews) December 10, 2018
エントリーシートに受験方式を書かせる
エントリーシートに○○入学方式などと入学した方式を書かせるものが出回りこれも話題になった。この時はどちらかというと批判の方式が「逆」だったように見える。
【朗報】
五大商社や大企業、就活のエントリーシートに一般入試かAO入試か推薦かをチェックする欄あった。指定校推薦入学者は使えない人が多くて最近は受験方法を重視する企業が増えてるらしい。ヤッター❗️— アナ吉 (@5roume) January 10, 2021
忖度ジャパン・サッカー日本代表の広告枠選抜疑惑
忖度ジャパンマーケティングとして記事を書いたが、根本の構造は同じではないだろうか。
端的に言えばメディア等他の力による収益と、実力の折衷選抜方式。要約すると、スポーツの日本代表の選考を、寄付金額や、他の運営などにプラスになる人物を優先的に日本代表選手として選抜したらどうか?というものである。
実際に「日本代表選手の選考を一部寄付金額が多い人を選んだりしたら運営に良さそう」と提案したことがあるが、あまり良い顔はされなかった。
雑誌の「凄い○○ランキング!」という広告出稿枠なんかもある。あたかも客観的な評価でランクインされたかのように見えるが、実際はお金を出して載せてもらう広告であることも多い。
他にも一般入学と指定校推薦入学、エンジニアじゃないのにBig Techのエンジニアと言い張る、自費出版なのに商用出版だと振る舞う等などいろいろある。色々なミスリーディングが多い。
何が嫌なのか?
さて、これらを嫌がるのは、何が嫌なのか?一般的には以下の傾向が見られる。
「正規」の人たちが正当に実力勝負だと思われる実力以外の部分で選抜が行われたこと、さらに外から見れば正規以外の人達も正規の選抜方法を経たかのように振る舞うこと、第三者から見られる/扱われることに対して、ずるいと感じたり損をした気分になる。または実際に自分達のポジションが奪われて損をした。なんだかただ乗りされている気がする。etc
ということではないだろうか。更に、先に言っていないような大人の事情的な圧力がかかっているように見えることへの不公平感、などがあげられる。
正直に描写すれば解決する、わけではない
ではこれらの方式は「正確に描写すれば解決する」のだろうか?おそらくそうではない。
例えば、入試も「一般受験だけで点数で評価しています。」と表向きにいい、裏でこっそり融通を聞かせたりするから批判される。ここで元から「他の要素寄付金額の量やメディアの露出による宣伝効果、試験の点数を総合的に判断して合格者を決めます」と要綱にあらかじめ書いておけば問題はない。
推薦入試よりももっと具体的に「献金裏口入試」という名前にすれば、「正規」の人たちから見れば納得感は増すだろう。
医学部の年齢や性別による減点も「年齢と性別で明確に差別します!若い男が優先!」と先に書いておけば問題にはならないだろう。女子大に男子が受けられないのと似たような感じはある。
特任准教授という名前ではなく「特任メディア客寄せパンダ枠教授」という名前にすれば、実情に正確である。
AIの設定も「制作者はAIの強さを変えることが出来ます。要するに誰に勝たせるかはAIを設定できる番組制作者が決定できます。」と予め言っておけば納得感は増す。
選手の選考も「あの選手は多額の広告費を積んでいるから、外すわけにはいかなかった」と公に書くことはないだろう。
雑誌なんかの「すごい○○100」なんかも「今年最も注目された○○」ではなく「今年最も「すごい○○」として紹介して欲しいと広告費の献金額が高かった○○ランキング100」と言えば納得感は増す。
しかし、おそらくこれではこの問題は解決をしない。最も重要なのは「客観的に見て難関と認識されている方法を突破した、と客観的に認識されることで、客観的に価値のある評価を受ける」ということに価値があるためである。いわゆる「ミスリーディングを誘発することによる錯覚資産の獲得」が最大の目的のひとつである。
よってここで、正直に実情を書くと、逆に対象者が不名誉に感じることも多いだろう。
医学部入試に「献金裏口方式」という公式な大学の入学方法を作って、大っぴらに応募して合格体験記を書いて自慢できるだろうか?「私は新設の『裏口献金方式』で合格しました!実家の太さに感謝します!」と合格体験記を積極的に書いてくれる人はいるだろうか?わずかにはいるかもしれないが、おそらく多くはないだろう。大半は裏口献金方式で入学したことを隠すはずである。
同様にエントリーシートに「裏口献金方式」で入学と書いたら、書類選考で落とされそうである。
「性別や年齢で差別します!」等と公に発表すれば、批判を受けるのは間違いない。場合によっては再起不能なほどに炎上するだろう。
「特任准教授」ではなく「特任メディア客寄せパンダ枠教授」であれば、「馬鹿にしているのか?」と該当者にはオファーを受けてくれないかもしれない。
「あの選手は広告代理店がお金詰んでるから出さないといけないんです」と公式に言ったら、CM/広告の効果が薄れそうである。
AIの設定で「このレースは出来レースです!」と言ってしまう出来レースはなんだかもう、出来レースですらないのではないかという感じすらする。
「すごい企業ランキング!」ではなく「『すごい企業ランキング!』に入れてほしいと、多額の広告費を積んだ企業ランキング!」としたら、もうお金を出して広告枠を買ってくれなくなりそうである。
よって、正直に言えば解決するわけではない。
運営上は最適であった可能性
個人的にも国立大学を受験し落ち、私立大学に一般受験で入学した際に、中学校レベルの英語が怪しい人や微分が出来ない人がクラスにいて「え?マジで?案だけ必死にやったのに、こんな感じの人たちと同じ扱いになるのか?」と思い、当時は酷く落胆した記憶があるため、いわゆる一部の「正規ルート」の人たちが批判したくなる気持ちはわかる。
しかし、これも、参加者としてではなく、運営などの立場を変えればいろいろと見えてくるものがあった。
運営としては、いろいろな目的がある。例えば収益を最大化したいであるだとか、数字を取りたいであるとか、人材の確保であるとか、人数を絞って見た目の偏差値を上げる、等である。
これが個人の目的や感情と一致しないことがある。上記の例はその具体例だろう。枠を狭めたほうが偏差値は上がる。同じような肩書にしたほうがメディアの受けもいい。一般合格という振る舞いの方が凄く見える。等々。
個人の感情と組織の運営と広告費の獲得などを考えると、「本音と建前が乖離しながら、のらりくらり行く」というのが運営としては最適であった可能性もある。よってこういう方式が取られていた可能性も高い。最近では一部乖離が激しすぎて吹き上がっている側面もあるかもしれないが、このような行為を行っていること自体が、いろいろ試した結果良かったのだろう。
個人で気を付けるほかない
やれやれな世の中である。しかしながら背に腹は代えられない。
個人的には、上記のようないろいろな権力と力関係があるうえで、どう立ち回ったらいいか?を気にしておくほかない。一種の割り切りが必要となる。
どうしても信念に反すること以外は、世の中はそんなもん、という悟りが気を楽にする印象である。