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公開日:2019年10月12日
更新日:2020年10月19日
私は、個人的な趣味で「お金」を集めている。
「そんなものは趣味じゃない!みんな必死に働いているんだ!バカにするのもいい加減にしろ!」
とか言われそうだが、収入をあげるとかではなく、「お金」を集めている。・・・物理的な紙幣である。主に外国紙幣。こんな感じである。
なんだかフリー素材のようだが、これは私撮影。参考のためフリー素材はこちら。
(フリー画像)
仕事柄海外に行くことが多く、またちょっと前までは世界各国の会議に出かける人が多い大学にいたもんだから、その都度紙幣を買い取っていた。
「紙幣自体の価値は気にしない。レートの値段か、1ポンド(約150円)の高い方で買い取ります。あまりに高いと断るかも笑」
リクエストも、値段か、どちらか「高い方」っていう値段交渉としては、有り得ない申し出をしている。
こういうよく分からない趣味ですら、周りに普段から言っておくと、情報をくれたり「使わないし、そんなに喜ぶならあげるよ!」と、実際に紙幣をくれたりする。たとえ買い取ると言っていても。
さよく考えたら、外貨両替所に持っていけば自国通貨に変えられる現金をタダでくれている。これはお互いに異国の紙幣を「お金」と言うよりも、「モノポリーのお金の形をしたおもちゃマネー」くらいにしか感じないののだろう。
人間の認知とは非常に面白いもので、自分が使い慣れている日本円やドル・ポンド辺りであったら直接もらうには抵抗があるのにも関わらず、使ったことがない国の紙幣であれば、あまり貰う時も抵抗がない。日本円を現金でくれると言われたら相当な抵抗があるのにも関わらず、ケイマン諸島ドルや、アラブディルハム、ノルウェークローナなど、様々な方から、いろんな紙幣を貰った。
なお硬貨のほうが特徴的なものが多いのは理解しているが、持ち運びが難しいし、保存も厚みがあり難しい。結局集めるのは紙幣ばかりになった。
趣味の実益
さてこんなよく分からない趣味でも、役にたつことはある。なんと言っても話のネタになる。
「これは持ってないでしょー?とナミビアドルやアラブ首長国ディルハム、ミャンマーチャットなどを見せられたことも。え?全部あるよ?と言えると、何となく勝ち誇った気分がする。」もちろん。気分がするだけである。
ただ新しい紙幣を手に入れると、まるで行ったことがない国であっても、何となく実感が湧く。少なくとも地図調べたりwiki調べたり、トリップアドバイザーをくらいはする。紙幣を通して国事情に多少詳しくなる。紙幣の図柄や素材などから、その国の事情が見えてきたりして結構興味深い。
例えばこちらは、脱税・タックスヘイブンとして有名なケイマン諸島ドル。
なぜかエリザベス女王。なのにポンドじゃなくてドル?え?ん!?この疑問を持ち調べたことだが、実はケイマン諸島はイギリス領である。この事実はあまり話題にはなっていない気がする。
ケイマン諸島(ケイマンしょとう、Cayman Islands)は、西インド諸島を構成する諸島の一つ。イギリスの海外領土であり、グランドケイマン島、ケイマンブラック島、リトルケイマン島の3島からなる。人口は57,570人(2012年)で、首都はジョージタウン。
タンザニアの10000シリング紙幣は、ゾウ。5000はサイ。2000はライオン。人間の大統領は1000である。サバンナとキリマンジャロの国なだけある。動物のほうが人間より格が上のようだ。他にも数字が多い国のものはどうだとか、ハイパーインフレの定義とか。発券元が日本でいう日本銀行と金融庁に相当するCentral BankとMonetary Authorityの場合があって、それぞれの役割が国によって少しずつ違うこととか。印刷手法や紙の素材やプラスチックまでいろいろあるとか。どことどこの通貨単位は固定制だったから、為替の2国間の為替の影響はない、だとか。ちなみにこんなページまである。
興味でやっているのでひたすら詳しくなっているだけなのだが、紙幣事情とか、マネロンについての話は「もしかしたら彼の方が詳しいんでは?」と言われることもある。
とあるイベントで、初対面の人(Aさん)との会話 (当初はAさん本人のFacebookに公開投稿で上がっていたが、現在は非公開になっている。)
A「私トリニダード・トバゴから来ました。」
私「ちょっと待って。」
私は1トリニダード・トバゴドルを財布から取り出した。
A「えー!?!?なんで!?」
私「おお。やっぱり。」
A「行ったことある?」
私「ない!」
A「??・・・なんで持ってるの?」
私「集めてるの。近くのケイマン諸島ドルとかもある」
A「金融関係の事やってる、量子物理の博士の日本人が、トリニダード・トバゴドル持ってる人にケンブリッジで遭遇。もはやよく分からない。」
A「写真撮っていい?」
私「はいどうぞ!」
私はトリニダード・トバゴドルを差し出す。
A「いやいや、持って!」
私「あ、そういうことか。」
よほど驚いたようで、記念撮影まで求められてしまった。
Aさんの投稿によると「1枚の紙幣で、初対面なのに、なんか前から知っている人のように感じた」としている。現金にはこんな使い方もあるらしい。
実利的な用途
不正利用につき、クレジットカードが止まった。海外キャッシング枠も使えないので、突然口座から切り離された生活を送ることになった。要は新しいカードが来るまでは、手持ちの現金でどうにかする必要になった。(以下の記事を参照いただきたい。)
キャッシュレス社会のメリットに潜む危うさに不意に巻き込まれた話
海外出張中に現金に困りポーカー大会に出場した話「カジノ・コペンハーゲン」
キャッシュレス社会のメリットに潜む危うさに不意に巻き込まれた話
結局ポーカーマネーでどうにかなったものの、このときに財布の中のコレクションを見て「あー、一応これはお金なのか!そっか!」と改めて思い知ることとなった。やはり人間の認知とは不思議なものである。これだけ多様な紙幣を日々持ち歩きながら、お金とは感じていないのである。(各国の紙幣の金銭的価値をあまり調べたことがないので、いくら持っているかは認識していない。)コレクションが減らないように、ユーロやポンド、米ドルを換金しても凌げそうだと判断した。
一般的には、米ドルやユーロ、ポンド、スイスフランのような「強い通貨」の方が価値が高い。しかしながら私の財布の中では、ウクライナフリブニャ、インドネシアルピア、ベトナムドンのような「弱い通貨」方が価値が高いようだ。財布の中で何か違う力が働いている。もはや「お金」というよりも、全力で守るべきコレクションである。
どこの国も、輸入には関税がかかる。しかし通貨紙幣自体には税金はかからない。いいお土産である(両替手数料高いけども)。さらに100万円分を超えない限り、申告も必要ない。
なお、日本円も1枚だけコレクションに入っている。もちろんこちらである。
一度日本で、お寺か神社かの入場の際に、カードを使おうとすると、カードは使えなかった。現金がこれしかなかった。尋ねると、2000円札は利用できるらしい。ここで重大な局面に立たされる。
- このコレクションの2000円札を使って観光地へ入場する
- このコレクションの2000円札を守るために観光地へ入場しない
1分くらい迷った挙句、断腸の思いで1. 2000円札を使用し、お寺に入場した。その後またどうにかして2000円札を手に入れ、コレクションへ戻しておいた。でかい銀行で在庫があれば両替してくれる。
新紙幣に2000円札(二千円札)がない?入手方法や価値は?沖縄で流通してるのはなぜ?
なんだかんだで、このコレクションは緊急時には現金として利用できる便利なものらしい。一種美術品を企業が売却してキャッシュを増やしているのと同じ状況かもしれない。
コレクションの効率的な増やし方
自分で直接行くか、友人に頼む方法だけでは、難しいことが分かってきた。そこでコレクションの増やし方を模索していた。ひとつの方法がこちらである。
海外通貨は、該当国の口座がない限り、一旦キャッシングで引き出すと、再度口座に入れることは出来ない。では、なにかを買うか、日本円に再度手数料を払って換金するしかないが、私は、残った現地紙幣を他国の紙幣に変えて、コレクションを増やしている。
こういう両替所です。
「この通貨の紙幣1枚下さい。」
「いくら?」
「?あります?見せて貰えません?」
「あ、その青いヤツがいいです。」
「何枚?」
「それ1枚」
「え?それだけ?」
(並んでいないことを確認)
「次は、この国の通貨の・・・」
混んでいなければやってくれることが多い。不審者そのものなのだが、今のところは通報されていない様子である。
なお実際は”We sell ~”とか”We buy~”とは書いてあるものの、事実上は買い取っているだけで、販売することは念頭に置いていない様子で、在庫がないことが多いようだ。実際に私も「その通貨はここには在庫がない」と言われたことが何度もある。
要するに日本の外貨両替所には、日本円は相当な額が保管されている。一方で、米ドルやユーロなら十分にあるかもしれないが、チェコ・コルナやノルウェークローナなどは、たとえ掲示板に載っていても在庫がないことがある。
「問題じゃないか!売り切れは売り切れって書かないと!」とか一瞬思ったが、そもそも日本で、日本円をチェコ・コルナやノルウェー・クローナに換金する人が皆無なので、まず問題にはならない。
両替所であれば説明をすれば分かってもらえたが、一方でキャッシュマシーンで、各国の通貨を引き出そうと、3回くらい連続で海外キャッシング枠から、各国紙幣を引き出していた。
このせいなのか、カード会社からテキストメッセージが来たこともある。少なくとも怪しいと思われたのだろう。(拾ったカードを使おうとして、暗証番号調べていると思われたか??またはほかの理由か?)一瞬止められていて、認証が終わったら解除された様子。
このように、変わった趣味でも、ある程度を超えると役に立つこともあるらしい。
完全キャッシュレス化社会にささやかな抵抗をするため、やはりコレクションは持ち歩いておくこととする。なお私のコレクションは、中東と南米が弱めである。日々精進していきたいこの頃である。