
目次
公開日:2019年8月4日
更新日:2021年10月19日
仕事と趣味の違いはよく話題になる。
「働き方改革」で言われている改革は、労働の方式が正社員か契約社員かのような働き方のスタイルが違うことに注目しており、そもそも「仕事とは何か?」ということ自体が問いには上がっていない様子である。
一方で「仕事なんだから~」や「納期を守らないと趣味になる」というような言い方もよく聞く。
どうやらここも、一言で趣味だ仕事だといっても、人によって受け取り方が千差万別であるようだ。この記事では、仕事と趣味の違いについて考えていきたい。
まず、困ったときは辞書を引きましょう。
仕事と趣味の違いについて
仕事
1. 何かを作り出す、または、成し遂げるための行動。「やりかけの仕事」「仕事が手につかない」
2 生計を立てる手段として従事する事柄。職業。「将来性のある仕事を探す」「金融関係の仕事に就く」「週の半分は自宅で仕事する」
3 したこと。行動の結果。業績。「いい仕事を残す」
趣味
1 仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄。「趣味は読書です」「趣味と実益を兼ねる」「多趣味」
2 どういうものに美しさやおもしろさを感じるかという、その人の感覚のあり方。好みの傾向。「趣味の悪い飾り付け」「少女趣味」
趣味と仕事の違いを言った場合には、上の仕事は「2」で趣味は「1」を指すことであろう。ただ、趣味は仕事の「1」を兼ねるようにも思う。
ここから見えることは、主な目的が外的なものか、内的なものかの差ではないか?と思っている。
仕事は、ほぼ確実に、対価が発生するために、外的な制限がかかる。一方で、内的なものが主な趣味には、外的な制限はないのが主であろう。
仕事と趣味の成果のクオリティについて
趣味と仕事のクオリティについては、やっている仕事のほうが、趣味よりもクオリティが高いという意見が多いように感じる。
個人的には仕事よりも趣味の方が完成度は高くなる傾向にあると考えていたために、これには違和感があった。
「え?趣味のほうが仕事よりクオリティ高くないですか?」というような質問をした際に、これに関して「仕事をなめてるのか」みたいなコメントが来たことがある。どうやらこの辺りも人によって、見方がいろいろある様子である。
確かに本当にごく1部の、人間の限界まで高みを目指すような業界、例えばプロの演奏、プロの試合では、仕事のほうが趣味よりもレベルが高い傾向にあるだろう。これはクオリティの高さと競争の方向性が一致しているためである。
それ以外の「大多数の業界では、趣味で追求していくレベルと、仕事で請け負って物やサービスを提供するレベルなら、おそらく後者の方がレベルは必然的に低くなる。そもそも製品やサービスとして求められるクオリティって、そんなに高くない。」
と、一般的に感じるものだ思っていた。いろんな場所で、趣味のほうがレベル高くなるんじゃないかという話は、ある程度はコンセンサスが取れていた。
しかし、ここをどう感じるかは、おそらく個人によるのだろう。
そこでこう考える。
趣味と仕事とクオリティの関係は、おそらくこのようなサンドイッチ状の構造をしている。例によって適当な感じの模式図。
趣味で取り組んでいるグループと仕事で取り組んでいるグループのクオリティの分布模式図。青色の濃淡は分布を示す。仕事要求ラインは価格で変動する。
仕事は、対価のために最低限のラインが存在する。一方で趣味には最低限のラインが存在しない。仕事でやっている場合、要件を満たしてしまえば、少なくとも短期的には必ずしも高みを目指す必要はない(ことが多い)。よって、クオリティは要求されるライン上か少し上に集中する。
一方で、趣味では、やる人がやれば、追究し続けると際限がない。
上場・非上場
この関係はどこかで見たことがあるように感じる。
おそらくこれである。
上場企業と非上場企業の関係。
上場企業と非上場企業のせめぎあうようなエリアであれば、「上場企業!」のほうが信頼性の部分で、宣伝していることが多い。
一方で、規模的にも上場をしたければ、いくらでも上場はできるが、仮に企業を上場すると、かなりの情報を公開しなければならないし、株を販売できる代わりに、株主という外野からいろいろ言われる立場になる。こういうのが嫌で非上場にしている企業も存在する。外資の日本支社の非上場のものや、あえての合同会社などがその例である。
これと同様に、趣味を仕事になんていくらでもできるが、仮に趣味を仕事にすると、契約などをしなければならない手間が増える。対価を得る代わりに、顧客からいろいろ言われる立場になる。こういうのが嫌で趣味を仕事にしない人も存在する。
よって、クオリティは趣味と仕事で千差万別であるというのが結論である。ただし、上記のように仕事には最低限が担保されるが、趣味には担保されない。これにより仕事の方が上で、趣味の方が下、という見方が出てくるのだろう。
クオリティは興味で追求してくる人にはかなわない
上記を考えると、クオリティは趣味で追究している人のほうが高くなりません?
だって好きでやってるんですよ?モチベーションが違う。達成感のため、それ自体のためにやっていて、完全に外的な報酬などどうでもいい人は、好きでひたすら向上を目指すだろう。止められないじゃない。
むしろ歴史的なものでも「仕事だからやった。」と言うよりも、「好きで追求していたら、知らぬ間に人類が踏み入れたことがない領域に踏み入れていた」、みたいな例が多そうである。趣味で報酬を貰い出すと、途端に楽しみがなくなるという研究があった気がする。
付加価値の高いエリアで趣味でスキルをつけて、同じエリアで片手間で仕事にすれば、一番効率がよさそう。これなら自動的に両立されバランスとかを考える必要はない。
特殊な業界であれば、この上位に分布している趣味の集団と、どうにかしていくのがよさそうである。