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公開日:2016年3月2日
更新日:2019年7月21日
「読書はしなさい。」よく言われることである。Kindleを買ったことと、ブログの収益の一部がAmazonギフト券でもらえることから、前よりも読書量が多くなった。巷には本が溢れており、毎月数え切れないほどの新しい本が発売されている。さて、どのような本を読むのがいいのか?これには様々な意見がありそうである。筆者は基本的に効率やコスパがいいことを好む傾向にあるので、どういう読書が最もパフォーマンスが良いかを、例によってこのブログの1ジャンルになりつつある「本質」を探ることとする。
読書の効用
大学生の1日の読書時間は平均でおよそ29分で、全く読まない学生の割合は45%を超えて、これまでで最も高くなったことが大学生協でつくる連合会の調査で分かりました。
www3.nhk.or.jp
現状、どんどん読書量は短くなっていき、書籍の売れ行きも特に紙のものは下がっているのが現状である。そもそも読書することの何がいいのか?これに対する回答は、良いものが相当数出回っているので適宜参照ください。
船井グループ 船井哲良
筆者がお世話になっている船井情報科学振興財団の船井グループの創設者船井哲良会長も「本は読め!」と私たち学生におっしゃっておりました。 自伝と他伝両方あります。
四十歳で五つの会社の社長になる―すべては「夢と志」から始まった
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八〇歳でも現役社長!船井電機社長・船井哲良の「終わらない挑戦」
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彼自身、本はものすごく読んでいて、先人ならどうしたかを考えていたということがこれらの本の中にも記述がありましたし、本人もじきじきにおっしゃっておりました。
旧制中学の神戸村野工業学校(現在の神戸村野工業高校)に入学した頃から、読書の対象は、戦国の武将伝から古今東西の起業家の立志伝へと変化した。限られた小遣いで少しでもたくさんの書籍が読みたくて、古本ばかりを買い求めた。当時「石炭箱」と呼ばれた大きな木箱があり、その2箱が一杯になった。冊数にして200冊は下らない量であった。食事の用意ができたと母親から呼ばれても「いま本を読んでいるので後にしてくれ」と言ったほど熱中してむさぼり読んだ。
武将や経営者たちの伝記から、「立身出世をする人間は、何か変わったことをしている。普通どおりにやっていたわけではない」と船井は気づいた。皆、裸一貫で勝負している。自分も同じように勝負したい!
戦国武将伝や経営者の立志伝を読んでいるうちに、いつしか船井の心の中に「夢、志」が膨らんでいったのである。
読書における効果
そもそも読書における「効率・効果が高い」とはどういうことだろう?早く読める?値段が安い?読んだ気になれる?もちろん見方によっていろいろあるだろう。ここでは「読んだ効果が金銭と読書時間に対して長期間にわたって継続される」ものとしよう。長期的の具体的な長さにもよるかと思うが、十年以上を想定する長期的な視点に立ったとき、数百円程度の値段の差はほぼ無いといってよい。また何十冊も続編となっている本は別としても基本的に本の長さは似通っている。長期的な視点で見たときは「本は値段も長さはほぼ同等」としてよいだろう。よって比較対象は本のコンテンツのみとなる。
どのような内容の本がいいのか?
さて読むべき本は長さや値段に関係なくコンテンツで決めるべきという言ってみれば当たり前の結論が前段で出たわけですが、肝心な本はどのような本を読めばいいかということになります。
ご存知のように世の中は「諸行無常」と言われるように移り変わりは激しい。それと同じように、新たなサービスが出てきては、消えてを繰り返す。それに対する対策本や攻略本はひっきりなしに生まれてくる。以下の記事にも書いたが、それらに代表されるような「小手先テクニック」は長期的な目線では効果が薄くなりがちである。
しかし長期的な目線でコンスタントに実利を得ること見ると、おそらくそこは本質ではない。短期的なやり方ではいわゆる「小手先テクニック」で、自転車操業的に利益を得ているに過ぎない。例えば模式的にグラフで書いてみるとすれば、周期の違う長期的な曲線と、短期的な曲線の組み合わせのように表されるだろう。図で書くのが難しいのだが、長期的な直線に対し、短期的な波動の関数が載っている以下のグラフのような状況を考えている。
さて、この考え方でいくと、長期にわたり効果があるものは、いわゆる一過性の流行のものではなく、長期長く多くの人に読まれているものが良いだろう。単純に考えて何十年も残っているような本であれば問題ないのであろう。
さてこれを踏まえると以下の3つになった。
各分野の「教科書」
なんだかんだで、いわゆる「教科書」はハズレが相当少ない、ほぼない。そもそも分野である程度評価されているということは「本質」に近いのだろう。ここに各宗教の根幹を成している聖書なども含むことが出来るだろう。
古典
こういった意味では、いわゆる各分野のバイブルや教科書と言われているものは、多くの目にさらされながらも、未だに残っている。古いものでは紀元前からのものもあるだろう。何億冊という本が出ては消えていっている中で、紀元前からのものが、なぜ未だに残っているのか?おかしいと思いませんか?おそらくそれは世代を超えて時代を超えて「本質的に価値がある」と判断されてきたからではないか。実際に古典は現代でも、現在に通ずる部分が多い。哲学的に正しいといえそうです。
偉人の自伝と他伝
少なくとも歴史上の偉人は、一発屋である可能性は低いだろう。彼らがどう考えていたかを読むのは価値がありそうである。同時に、彼らを周りから見ていた評価というのも参考になるだろう。
とかく人間は自分をよく見ようという偏見があり、それを文章にする可能性が高いが、一般からの目線であればその人の外から見たより客観的な評価が伺える。比べて読むと面白いかも。
例えばこんな本でどんなものがあるかを見極めるのはいいのではないだろうか?
http://www.hajime77.com/entry/reviewbookAkiraIkegami10books/
方法論は役には立つが・・・
最近では出版社も数多くの本を出すのに必死なのか、「○○のための50の方法」等のほとんど似たり寄ったりの本が並んでいる。確かにこういうのは比較的即効性があり、時代に沿っているためある程度は役には立つだろう。こういった意味では方法論は役に立つ。特に特定の領域には威力を発揮するはずだ。ただ、こういった本で身につけたテクニックを使う人間本人が曲がっていては、使い方を間違えたりと効果が薄くなってしまうのではないか。
先ほどのポストからも分かるように
すぐに役に立つ本は、すぐに役に立たなくなるということ
ビル・ゲイツなど、大富豪の読書量は、年収300万円の人の38倍「でも、有名になりたくて、仕方がないミーハー著者の本を読んでも何も変わらない。」 | リーディング&カンパニー株式会社
とある。正にその通りだろう。逆に、即効性が無い、いわゆる役に立たない本の方が長期的に見れば効いて来るのではないか。
効果的な本に対する結論
一応今回の結論は世代を超えて読まれている本、例えば古典や歴史上の偉人の自伝・他伝を読むのが良い。ということになる。これらは「役に立つ」「金銭的な利益になる」という意味では短期的にはほぼ役に立たない。しかし名作と言われているには、言われているのにしかるべき理由があるので、読んでおいて決して損は無いだろう。
そうはいうものの・・・。
ただそうはいうものの、こういう本は概して難解で重く、読んでいて「削られる」。正直言ってこういうのだけを読んでいたらやってられない。筋トレをするために負荷をかけたら、丸2日は筋肉の回復のために待たなければならない。やりすぎると故障の原因になる。これと同じように重い読書ばかりしていては身体が持たない(かもしれない?)
私自身も映画やドラマも大好きなので、これはこれで得るものがある。そして現在最新のものの一部も、不朽の名作として受け継がれる可能性は大いに秘めている。
最新トレンドに全く無頓着なのも問題
上記のような本だけを読むのも問題である。例えばブログ運営でHtmlやCSSが全く分からないと何も出来ないだろう。物性物理の研究でも最先端のことに取り組むには最先端の事情をある程度は把握していないとどうにもならない。「アインシュタインの相対性理論の論文しか読んでません。」では何も出来ない。これと同様のことが、悟りを開いて思想家になる以外の場合は、現在ほぼ全ての分野に言えることなのでは無いだろうか?
最終的には
最終的には、現代社会で生きていくには、各分野の最先端事情や、テクニックは短期的に見れば役に立つし、それらを踏まえていないとまずい場合すらもある。しかしトレンドばかり追わずに、上記のような偉人の自伝や古典を始めとした時代を超えた名作を読み、最新事情やテクニックを利用する本人の人間性自体を日々向上させていくことも同じように重要で、長期的に見ればその効果は大きくなっていくのではなないか。そういった一見効率が悪そうな本の方が最終的には効果が高いのではないか、と考える。