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公開日:2019年4月20日
更新日:2020年10月24日
私は現在、日本で「サラリーマン・会社員(以下会社員に省略統一)」をしている。
人数は多いはずだが、会社員は何かと「ただの駒」であるとか「主体性がない」のような批判を受けている印象を受ける。
私自身も「なぜ?」とたまに聞かれる。「フリーでもやれそう」というのはよくいわれる話である。それらの質問には、往々にして「会社員は避けるべき」という意図が透けて見える。実際に無職期間にちょっとやってみて、ラスベガスなどで弱い人相手のポーカーや、受託開発やフリーランス等でも、ある程度できることはよくわかった。要するに会社員以外でもやる選択肢がいろいろある。
でもちょっと待ってほしい。なぜ「会社員は避けるべき」という前提なのか?数が多いのだから、みんながみんなそんなに避けていたら社会が成り立たないのではないか?そもそもそんなにみんな嫌がっているんだろうか?
仕事は趣味、サラリーマン・会社員は好きでやるものという話
しかしそれでも私は好きで会社員をしている。むしろ会社員は好きでやるもんじゃない?とすら思っている。
ということで、この記事では、普段いろいろ言われている会社員だが、人によっては会社員は好きでやるもの、ということを個人的な経験を交えて紹介したい。
そもそもサラリーマン・会社員とは?
そもそもサラリーマンとは何か?
給料で生活する人。月給取り。勤め人。
この定義だと給与所得の人はすべからくサラリーマンとなる。この定義だと内閣総理大臣も議員もみんなサラリーマン。大学教授、その他もろもろもすべからくサラリーマンとなる。社長でも雇われている給与所得の場合はサラリーマンである。
ただ一般的にサラリーマンという場合おそらくこの意図で行っていないことが多い。
一方会社員はどうだろう?
会社に雇われ、働いている人。
こちらのほうがおそらくしっくりくるだろう。よってこの記事では、会社員は会社法人の被雇用者としておこう。
この時点で業種状況千差万別なのは明らかである。もちろん業種など細かく分ければきりがない。
しかしながら、会社員への批判自体がターゲットが広い現状があるので、この記事でも、会社員の中にもいろいろあることを分かったうえで「会社員」とざっくりのままにしておく。
会社員アクティビティー
なんで会社員をやるか?というと、会社員じゃないと出来ないことが結構あるためである。すべてではないが、ちょっと紹介したい。
東京・ダンジョン
東京にはダンジョンがある。ダンジョンの受付に名前を告げる。
受付A「いらっしゃいませ。」「ご案内いたします。」
ご案内の方が受付までいらっしゃる。
案内人A「行ってらっしゃいませ。」
そう言われて、隠し扉のような認証ロックのエリア。細い道を抜けると、そこには何やら重圧感のある漆黒のエレベーター。
案内人Aは、エレベーターの上層階のボタンを押すと、「行ってらっしゃいませ。」といい、エレベーターから降り、エレベーターは私たちだけを乗せ、エレベーターはほぼ無音の中、スーッと上がっていく。
(ん?これはタワーオ〇テラー?)
http://www.tokyodisneyresort.jp/photo/index03/place_sea01/
エレベーターが到着した。ドアが開いた。また違う案内人が現れた。
(ま、まさか、このまま閉じてエレベーター落下?ベルトしてないよ?そもそも立ち乗り?え?ベルトは?)
案内人B「いらっしゃいませ。」…何もなく案内人Bに連れられて、さらに進む。場合によってはフロアは初雪のようなフカフカの絨毯であることまで。靴を拭いてから踏んだほうがいいか、ちょっと避けて端のほう歩いたほうがいいかな、とか一瞬考えてしまう。
ここまでで結構遠いダンジョンのようであったが、ここまで来てさらに受付がある。
警備員さんも含め、皆さん45度で頭を下げてお辞儀をしている。
(「苦しゅうない。オモテをあげい!」といいたくなる気分になるのもわかる気がする。)
案内人C「いらっしゃいませ。」
案内人C「こちらです。」と連れられ、大理石の床を革靴をコツコツと鳴らしながら進む。
ここまで来るのに、受付A・案内人ABCと4人交代している。パスを回されるボールになった気分である。仮にアメフトなら次のパスでタッチダウンしないといけない。
何も音がしないラストダンジョンの終盤のようなエリアさながらである。絵画や壺が置かれた広大な部屋に通される。バスケットボールの3×3くらいなら出来そうな広さである。
トレーディングカードの交換
そんな応接室などを含め、ことあるごとに名刺とかいうトレーディングカードを交換する。
場合によっては四天王・ラスボスのような肩書のカードと、始まりの村の脇で最初に出てくる体当たりしかできないスライムみたいな私の肩書のカードと交換。
私のカードはPh.D.とは付いているものの、強そうな感じではない。カード交換コミュニティの「同じくらいの強さのカードの交換」などの条件によっては文句が出そうな交換である。
強そうな肩書につられ、強そうな肩書のベンチャースポーツの名刺とか出しそうである。・・・実際に出したことはない。
デスクの上のアトラクション
シナモンチュロスやキャラメルポップコーンを頬張ってパークで遊んでいるわけではないが、デスクでビターチョコとモカコーヒーを飲みながら、あれこれと楽しみつつ考えた案に基づいて話をする先が、ミッ〇ーマウス程ではないが、国内外の、場合によっては国際事情を左右しかねない結構な要人であったりする。まだ実現はしていないが、そんな案や構想に関して、内容の投稿や講演の打診を戴くこともある。
前者は相当に歩き疲れて足がパンパンになるが、後者の脳の疲労はチョコとコーヒーですぐに回復するので、私には後者のほうがいいようにも感じる。年なのかもしれない。年齢は19歳1〇〇ヶ月とか言っている場合ではないかもしれない。
海外出張
大学院生の時からも似たような結構あったが、行きたいかどうかはさておき、外国へも頻繁に行く機会がある。当然ながらその際は費用は自分で払うわけではない。出張中の宿泊先は、5つ星ホテル。(私のバリューに見合っているのかは常に感じるところではある。)
空港には、送迎の車にお迎えいただいた。
ところでこれこそ例の案件である。
ドライバー「ミスターシノハラ?」
私「・・・ドクター?」
ちなみに、何も言わずに、ハイといってしまった。
あ、これ仕事?
先日個人的に非常に興味があるイベントシリーズがあった。日本にいるということで友人から招待いただいた。しかし参加するには、定時前に早退しなければ間に合わない時間であった。
最悪有休を半日使ってでも参加しようと考えていたためイベントであったために、事前に確認を取った。ところが、「内容的に業務に直接関係するから、休むどころか残業代付けられるよ。」とのことであった。
「…?ああ、そうか!これは仕事だったのか!」と思うこととなった。
結局この時は、1回イベントに行って様子を見ることにして、残業申請はしないことにした。なんとアトラクションを追加で楽しもうとしたら、追加で料金を支払うどころか、追加でもらえる。趣味と仕事の区別が意識しないとつけづらい。
休みがないのは嫌!
個人的には100時間残業どころか80時間・40時間、いや20時間でも辛い。「22時に帰りたいコンサル志望」どころか18-19時には帰りたい。
特に徹夜とかは本当に無理である。メイボール以外で完徹は、生まれてこの方、未だかつてしたことがない。【メイボール/ケンブリッジ】夜の舞踏会?映画撮影?大学のイベントとは思えないイベントの実態
余談ではあるが、これが以前話題になった記事で「なんで有名な外資系だけに絞らなかったのか?」の答えのひとつである。海外と日本の就職活動の歴然とした差を実感。海外大博士から見た就職活動
このため激務で知られる企業の面接で「短所は、長時間労働できないことです。徹夜とかもってのほかです。」と言ったら、面接官の態度が急に変わり不採用とかもあったりした。残業は好きではないので、残業がなるべくない会社員を選択している。
そんな感じなので部活や予備校・サークルなどが毎日のようにあったことを考えると、今までの経験での小中高・大学・大学院よりも、いや無職でカフェ等で何かしていた時よりさえも、用事がない日の帰宅時間は早い。入社2か月目で有休を連休につなげてイギリス時代の友人と海外旅行してみたりなど。
副業について
一般社団法人の代表理事を務めており、最近では株式会社も準備中である。よって私は、副業不可だと困ったことになる。
別に例の夢と魔法のネズミのように何か魔法の技を使ったわけではないが、大変ありがたいことに「副業をされている篠原さんが入社されたので、副業を可にします。」と企業の就労規則を改定いただいた。よって副業も問題ない。
さらに変わった業界での起業となると、フルコミットしないほうが成功率が高かったり、短期的な利益を追わずに済むという意味でも、副業でやることが理にかなっているだろう。現に副業のほうが成功確率が高いという研究結果まで出ている。
例えば、起業においては、会社をやめるなどして退路を断つよりも、実は本業を継続しながら副業的に始めたほうが成功の確率が高いことが調査によって明らかになっている。https://book-smart.jp/14471/
同時に本業と副業の人が同時に協業すると、いろいろな課題・問題が浮き彫りになることがよくわかってきたので、「働き方改革」に関連してこの辺りも個人的にデータを貯めている。
一方経営者の場合、24時間事業について考え続けの可能性がある。一方会社員の場合、もちろん考えることもあるが、場合によっては残業等があればこの限りではないが、基本的には業務時間外は解放される。
カイシャインだと個人が居ないことになる?ブログ・SNS
組織に入ってしまうと、個人での実績が何もなくなり社会的にはいないような感じになる、という話も聞いたことがある。企業によっては、発信を制限されることもあるが、現状私の場合はブログやSNSの企業秘密を書かなければ問題はない。提出したCVにも書いてある。ブログも問題ない。会社員の方でも名前が出るものは既にある。
決定的な違い
そんな趣味のような業務ではあるものの、会社員の今と無職の時との決定的な違いがある。月末になると、結構な額が毎月口座に振り込まれている。不労所得、かと思ったが、一応働いている。働くとはこういうことらしい。(こちらも、バリューに見合うかどうかは常に感じるところではある。)
私は元々お金を使うタイプではない。それでも一風堂で躊躇せずに、追加のトッピングの半熟卵を注文したり、はなまるうどんや丸亀製麺でサイドの天ぷらを頼むとかいう超贅沢をするようになった。夢と魔法の国とか言いながら血も涙もない毎年恒例の値上げにも簡単に耐えられる。しかしそんなに減らない。
興味がある本をKindleで買いまくって必死に読みまくっても読める冊数は限られているため書籍費用はそんなに変わらない。しかも書籍も仕事を通して興味あった事柄についてだったりもするので、もはや無限ループである。さらに業務に関係していたら、その書籍費用も出てしまう場合もあるじゃないか。
最初は給料日の通帳を見て「おお。」と思っていたが、3回目には既に「あ、通帳の数字また増えてるわ。」位には既に見慣れて感動もなくなった。そもそも金銭としてではなく、紙面上の数字列の認識。
これに関してはよく知られるように、次のような年収と効用の関係のグラフもあるので、数字ばっか増えても幸福度は変わらないことが研究としても示されているようである。レベルが上がってくると、新たに覚える技や呪文もなくなってきて「あ、またレベル上がった。数字増えたわ。」って思うあの感覚と同じだろうか。
待遇よりもやりたいことをやる
状況的に直近で就職の話をしていたのは、ケンブリッジ大学の大学院生が主であった。だから日本での学部生の就活事情は正直なところそんなに覚えていない。実際のところ、ケンブリッジで話していた際にも「お金を稼ぐために働く」と言っている人は、ほぼ居なかった。中にはもちろん「稼ぎたい!」が最大目標の人も、いるにはいた。その時の感覚ではこんな感じである。
“You should choose what you like and you enjoy rather than popularity and compensation. ”
「知名度や待遇よりも、あなたが好きでやりたいことを選ぶべきだ。」
「全員トップ大学で教授を目指したり、全員起業したり、全員がITのGAFAとかコンサルのMBBに行くばかりではなくて、自分が関心があることをやりたいよね。もちろん、本当にやりたいなら、それでもいいと思うよ。」
キャリアサービスなどでもそんな感じ。「つまらなそうな激務の仕事で、20万ポンド(3000万円)よりも、5万ポンド(750万円)くらいでも、本当にやりたい好きなことやったほうがよいよね。」
というのはよく聞いた話であった。教員や大学のスタッフも似たようなことを言うことが多かった。
嫌なこと
もちろん嫌なこともないわけではない。すべての事象には短所はもちろんある。
雨の日の電車
雨が降っていても、オフィスに行かないといけない。雨の日の満員電車は特に傘の取り扱いが難しい。これは確かに嫌である。雨の日の満員電車で、人身事故で遅延で乗り換えをしなければいけないというときは最悪であった。完全に水槽の中のイワシ気分。
…もはや、会社員であるかどうかは関係ないような気もする。夢と魔法の国ですら雨降ったりするし。しかもあの辺海沿いの埋め立て地だから雨風強いし。
交通費精算などの雑務
これは相当に苦手である。間違えを全くなく正確に記入とかが難しい。しかしながら、これは会社員じゃないとさらに増える可能性を感じている。よって事務作業からは逃れられない。むしろ会社員だとバックオフィスの方々がやってくださるので負担が少ないくらいかもしれない。【一般社団法人化】「法人クエスト」 第1章~法人登記~
カイシャイン・ケイケンも様々
さて人によっては会社員は好きでやるものであるという結論である。シャカイジン・ケイケンが人によって定義も感じ方も様々なように、カイシャイン・ケイケンも人によって様々である。
海外と日本の就職活動の歴然とした差を実感。海外大博士から見た就職活動
現状働いているという感覚はそんなにない。むしろ趣味みたいなものである。実際に「こんなの趣味みたいなもんですよ。」とよく言っている。家でも気になって調べたり、たまに夢に出てきたりもする。大学生・大学院生の頃とやっていることは、そんなに変わらない。むしろ大学生・大学院生の時と似たようなことをしているが、大学院生の時よりも勝手に増える銀行口座の数字が多い感じである。
確かに金額を稼ぐだけに焦点を当てれば、最近では例えば、フリーランスの人工知能系のエンジニア系の仕事にしたりもあるだろう。しかしながら、たまにならいいが、コーディングをひたすらしていると、気が狂いそうになったので、少なくとも私には向いていない。こちらでも参考ください。内定者が考えるクオンツ・ヘッジファンドの就職対策ほかにもポーカーでもウェブでも何でもいい。
さらにいわゆる下請け系の業務委託や、四天王・ラスボスのような人達とトレーディングカードを交換したり、国際的な要人とのやり取りもなかなか無いんじゃないだろうか?もちろん、業種運や上司運・部署運などによるところももちろん強い。先述の四天王・ラスボスの方々も会社員であるし、案内人ABCやドライバーの方も会社員だろう。
しかしそれでも私を含め、会社員がみんな嫌々やっているわけではない。結局は個人次第である。私のポジションも、私は楽しんでいるが、込み入ったことを考えることが好きではない人からすると苦痛以外の何物でもないだろう。さらにこの状況も今後変わっていく可能性もある。個人的にはこの辺も含めて現状は運がよかっただけとすら感じることもある今日この頃である。