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公開日:2019年11月24日
更新日:2020年9月28日
夢と魔法の国。何とも希望の湧きそうな響きのする国である。
しかし、日頃から団体の運営や構造を考えることをやっていると、なんとも緻密に計算された、よくできたシステムであると感銘を覚えるほどであった。
実際に、マジックランプシアターのシャバーンさんも「夢と魔法の国なんだから割り切って!」とコールアンドレスポンスに参加を促していた。
この記事では、そのあたりを割り切らずに、「夢と魔法」に惑わされず「心のスイッチを切って」考察をしていきたい。
株式会社=営利企業
日本のパスポートは世界最強レベルで知られ、ビザなしで入れる国が世界でも有数なほど多い。しかし夢と魔法の国には通用しない。夢の国はビザ・オン・アライバルならぬパスポート・オン・アライバルであり入場料は2019年現在7500円である。
運営母体はなんだかんだで株式会社である。ということは株主のために利益を追求する必要がある。そのための仕組みが所狭しと組み込まれている。
効率的寡占独占集金システム
パーク内は、効率的な寡占的集金システムが敷かれている。こっちのお店混んでるから他の店に行ってみよう、といっても、パーク内の店舗は、同じ会社組織の運営である。どちらで買っても利益は同じところへ行く。これを寡占といわずになんというんだろうか。
さらにパーク内では、主に以下のサイクルである。
歩く→疲れる→お腹減る→食べる(課金する)→歩く
の繰り返し。さらに大体の場合立ちっぱなしである。さらにパーク内は持ち込み禁止で競合がない完璧に作り出された寡占市場である。寡占市場としてはこれ以上に無いくらいのシステムが確立されている。また値段は外よりも高めに設定されている。独占禁止法のケースで使われそうなお手本のような独占地域。理想的な効率的な課金システムを確立。
休憩所の近くでちょうどいい具合に屋台があるではないか。値段も「高くないかな・・・?」と感じにくいワンコイン500円以下。非常に良くできている。
歩く相互広告塔
パーク内では固有の持ち物を持っている人が大勢いる。そして様々な場所で販売されている。これは逆に言えば、相互に宣伝を自然とするシステムと捉えることもできる。
カチューシャ
仮にこれを街中でしていたら下手したら職務質問の対象になりかねない。さらにこれらは目立つうえ、パーク内の至る所で売られている。こういうものである。
パーク内では、耳を付けるのは違和感はない。むしろつけていないほうがさみしく感じるようなものである。そしてつけているのは当たり前だが目立つ。広告になっている。
ポップコーン
ポップコーン自体が原価が相当に安い。一説によると元々映画館が収益化のために始めた側面もあるようである。
TDL 約50g 310円 レギュラーサイズ
ご存知のようにディズニーリゾートでは、ポップコーン専用のバケットが売られている。こういうやつ。
歴代ミニーたちの実写デザイン!
東京ディズニーランド“ベリー・ベリー・ミニー!”ポップコーンバケット
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詳細→https://t.co/CHWGpgkxA7 pic.twitter.com/WTV37jQYy1— DtimesDelicious (@DtimesDelicious) November 21, 2019
ものによるとは思うが、今回見かけたものでは2400円であった。オリジナルデザインとはいえバケツが2400円である。ダイソーもびっくりである。
さらにどうやらバケットにはレギュラー2杯分入るらしい。
よって、少なくともバケットを買うことによる「元」を取るには、リフィルx回、レギュラーをy回分とすると以下の連立方程式が成り立つ。
500x-(2400-500)>400y
y=2x
これを解くとx>6.333…となり、7回リフィルすれば元が取れることになる。要するにバケットを使いまわすことで、レギュラーを14杯買うよりも、得する計算になる。相当にトウモロコシが好きなのだろう。(ただしそもそものポップコーンの原価は上記のとおりである。)
ITを駆使したさらなる効率化
最近のディズニーリゾートは、スマートフォンアプリ「東京ディズニーリゾートアプリ」でいろいろできるようになっている。少し重いが、相当にハイスペックである。
待ち時間がわかる。
ショーは抽選式らしい。とりあえずやったら魔法使いの帽子が残念そうにしていた。
ファストパスの予約もこのアプリから出来る。
ディズニー、スマホでファストパス発行 パーク巡りはどう変わる?
レストランやホテル、パッケージなどもこのアプリから予約できるようになっている。もう沼である。ずぶずぶである。
むしろこのアプリの仕組み自体に興味がいってしまい、待ち時間はずっといじっていた。
効率的な課金システムはIT化でさらに効率化へ。徹底的に搾り取る方式。
ということで、どうやら夢と魔法の国には、入るまでも入った後でも資金が必要なようである。夢は金で買えるという強烈なメッセージ。
入場料を支払った上での行動
上記のようにパーク内は入場料を支払って入場する。当たり前である。パーク内で何をしているだろうか?
混雑
人気の遊園地では、混雑はつきものである。夢と魔法の国も例外ではない。場合によっては歩くのが難しいくらいに混んでいることもある。
しかしこの光景は日常のどこかで見たことがないだろうか?そうである。こちらである。
人身事故の際の都内の電車である。歩くのが難しいくらいに混んでいる状況は、山手線が人身事故の時は似たような状況を無料で楽しむ(?)ことができた。ちなみに急いでいたので楽しくはなかった。7500円を支払って、まずこのアトラクションを楽しむことになる。
絶えず詰め詰めのまま水槽内を泳ぎ続けるイワシの気分を味わうことが出来た。
なお水族館のイワシは、見世物になり見方によっては彼らは泳いでいるだけで仕事になる。これで餌を得ている。
一方私は夢と魔法の国の入場料7500円を払って、たまに都内でも無料体験が出来るイワシ体験アトラクションをしている。
撮影隊
このパークはショーがつきものである。そのわきには多くの人だかり。
中にはプロカメラマン顔負けのカメラを持ち込んでいる方々がいらっしゃった。しかも結構な数。
調べてみるとこんなエントリーがあったので相当な需要があるのだろう。【2019年最新版】 ディズニー向けおすすめの一眼レフカメラとミラーレスカメラ
撮った写真はどうするのだろうか?書いていなかったが、何かに利用しているのだろう。
繰り返しになるが、夢と魔法の国の入場料を払っている。仕事ではないはずだが、彼らのメンタリティはそれなの以上かもしれない。
アトラクションやショーを待つ人々
下手したら何時間も炎天下の下や凍えるような寒さの中ひたすら待っている。さらにショーも長くても数十分程度ではないか。アトラクションも長くても15分以内である。ディズニーランドの所要時間長いアトラクションTOP6
修行のようである。ロープの内側に詰めて座る。なんだか避難所のようにも見えてしまう。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、夏の炎天下にも冬の凍えるような寒さにも負けない丈夫な体を持ち・・・(中略)・・・褒められもせず、苦にもされず、ひたすらにショーを待てる、そういうものに私はなりたい。
これに耐えられるなら、某公園の炊き出しや、段ボールの家も楽々なのかもしれない。
繰り返しになるが、パーク内の人々は全員入場料を払っている。
忍耐力が鍛えられそうである。
バグ・脆弱性の発見
一種職業病であるが、監査やハッキング目線でものを見てしまう傾向がある。
QRコード
入場券もファストパスもQRコードで管理されている。果たしてそんなに大量にQRコードを発行したら、画像でも使いまわしが出来てしまうんでは?さらに、スクリーンショットを駆使すれば、何個も利用できたり出来てしまうんではないか?など思いQRコードアナライザーでファストパスのQRコードを解析してみた。クロクロ・ツールズ・QRコード解析
ファストパスのQRコードを読み込むと、アルファベット1文字と20桁の数字で構成されていいた。よって発行数としては理論上
26×1020
通りが考えられる。これは、原子量molを現すアボガドロ定数の100分の1くらいで、日本語で言うと垓(がい)の単位。1兆の100億倍くらいという中二病みたいな単位である。
一方こちらによると1年間の来場者数が3000万人程だそうなので一人3枚ファストパスを発行して1年に1億枚。だいぶ雑多な計算でのこのペースで行けば、100兆年かかる。よってファストパスを日付と時間で指定して逐一発行したとしても、どうってことないことがわかる。(実際には各桁ごとに意味を決めているはずなのでもっと少ないが、それでも十分大きいことに変わりはない)
なお、入場券をQRコードでアップして販売すると、画像を無断で使われることがあるらしい。
当然といえば当然である。ディズニーチケット QRコード悪用は可能!?対策法はコレ!
関係者専用
関係者専用のドアが至る所にある。
東京ディズニーシーの「関係者専用」コレクション。
英語のバリエーションゆたか。 pic.twitter.com/GRo2dG5RnX— 烏有 (@Fantillusion_26) October 21, 2016
当然カギがかかっているため一般人は入ることが出来ない。しかしながら、スタッフが通過する際中が見えることもあった。どうやら何事も裏側は表側とは少し違うようである。さすが夢と魔法のプロフェッショナルである。
さらに上手くやれば、テイルゲーティング(空いたドアが閉まる前に追いかけて中に入ること)もできそうである。やらないけど。
記念撮影
ディズニーリゾート内のいくつかのアトラクションでは、記念写真を撮ってくれるものがある。
ディスプレイに書いてある番号を伝えて購入することが出来る。正式名称はライドショットといい、A4/A5で1400/1600円だそうである。ディズニーフォト公式
スマホが発達した最近では、決して「撮影禁止!」ではなく、雷マークなどが出て、スマートフォンで撮影しても上手く映らないようになっている。
しかしここで、ハッカー目線でこの写真の部分を見ていたら、この雷は点滅していることが分かった。
では、ここで連射撮影をするとどうなるのだろうか?答えが以下である。
雷マークが完全に消えた瞬間に撮影をすることに成功した。脆弱性をついた気分で達成感を得ることが出来た。
高画質カメラでやれば、画質もよく雷を避けることが出来るだろう。(やってみて、とは言っていない。勘違いのないようお願いしたい)
作り物な感じ
世界各国に向かう以前は全く思わなかったが、世界各国を訪れてモデルとなった本物を見たことがあると、パーク内の至る所にある施設は良くできた偽物であることが、すぐにわかってしまうようになってしまった。
ベネツィアンゴンドラ付近
イタリア・ベネツィア本物。
ソアリン。
ギリシャ・サントリー二島。青いドーム。本物。
サンフランシスコ路面電車。本物。
写真ではわかりづらいが、明らかに感じる。「何で差がわかるか?」というと、崩れ方とか、錆び方、汚れ方などその辺であろう。要するに綺麗に出来すぎている感じがする。欠け方も綺麗な欠け方である。
ワインを飲み慣れた人が、ちょっとした品種の違いに気付く、みたいなもんなので、まあ気にするほどではない。
サービスの徹底
しかしそれでも、夢と魔法の国である。キャストさん達は、徹底されているようである。
実は、私はポップコーンをこぼしてしまった。その際、さっとキャストの方がどこからともなく現れ、パンフレットを袋状におり、こぼれたポップコーンを回収。「中身はまだありますか?」とリフィルまで気を使っていただいてしまった。他にもフラフラしていたら「どうされましたか?」と飛んでくる。
ただ「これらの対応が、時給1000-1350円なのか!」とまたいろいろ考えてしまった。ディズニーリゾート・キャスティング・センター。
いろいろあるが、もはや無限ループなのでこの辺でやめておく。
終わりに
いろいろ言っているが、上記の写真のうち引用がないものは自分で撮影している。多分に漏れず耳カチューシャを付けていたり、ポップコーンとチュロスを買っている。
尊敬する人物に「ウォルト・ディズニー 理由:人々をポジティブにするから」と書いたこともある。
なおこの記事も入場料7500円を支払い、広告記事を依頼されると結構な額になる中もちろん書いてみたくて無料で書いている。夢と魔法とは凄いものである。
ただ、「心のスイッチ」を切って見てみると、夢と魔法の国でさえもいろんなものが見えてくる、と感じる今日この頃であった。