目次
公開日:2016年4月7日
更新日:2019年7月15日
前回の記事で、「国際会議・国際学会」についてまとめました。今回は私が、実際に参加した会議の様子を用いて、具体的にまとめていきたいと思います。
会議概要
今回はInstitute Of Physics (IOP) Magnetism 2016というものに参加しました。どう説明すればいいのかがいまいちピンときませんが、IOPという主にイギリスを主体とした大きな団体のうちの磁性体に関連する分野の分科会議でしょうか。IOP自体は、論文をダウンロードしたりすると表示されるので、もしかしたらちょくちょく見たことがある人もいるのではないでしょうか?
Institute of Physics – For physics • For physicists • For all : Institute of Physics
地域
今回の会場は、イギリス中央部のシェフィールド(Sheffield)。ケンブリッジからは電車で1,2回の乗り換えの上、3時間ほどです。個人的にはやたら遠いな、と思ってはいたんですが、よくよく考えると、飛行機に乗らないだけ全然マシであった感はある。
(Google Map)
会場
シェフィールドの典型的な会議ホール。
シェフィールドが銀食器で有名なようで、廊下には銀食器などの展示が。
フォークやナイフも。
期間
会議は4月4日,5日の2日間。いわゆる学術的な国際会議は1週間前後の長さのものが多い印象なので、少々短めでしょうか?他の会議、いわゆるスポーツの世界選手権やオリンピック、首脳サミットなどとも比べ始めると、相当短いですね。
登録・配布物
さてさて、会場に到着したら、通常Registrationと呼ばれる登録を受付で行う必要があります。大体こういったたて看板も出ているので、それに従いましょう。
一般的に配布物はファイルにペンとノートバッド、その他スポンサーからの宣伝広告などが入っています。
あと名前バッジ。常に首から提げて置くように言われます。
部外者と参加者の見分けもこれで行っているようで、ディナー会場(後述)には提示が求められました。
あと、これなぜ必要なのかがよくわかりませんが、会議の参加レシートの他に、こんな参加証明書が入っていました。
国際会議に参加しました!という証明書です。
・・・これ、仲間内でも話題になったんですが、何か意味を成すんでしょうか・・・?国際会議に参加するフリをして、実は他のところに遊びに行ったわけではありません!という証明でしょうか。まあ、とりあえず、入っていたということで。
発表
発表方法は、通常の参加者は、スライドを使った口頭発表と、ポスターを壁に貼るポスター発表の2種類です。一般的に口頭発表の方が人気です。
国際学会/国際会議の発表/英語/プレゼン/服装/持ち物/懇親会
口頭発表
口頭発表は、自分の割り当てられた会場の、割り当てられた時間に発表をするものです。発表会場はこんな感じで発表壇に向かって、椅子が数百並んでいます。
今回は2セッションの同時進行、時間は招待講演が30分、通常の発表が15分でした。結構時間押してた印象ですけどね、実際。発表の最後の数分は質疑応答の時間です。質問がそんなに出ないと、司会が頑張って質問している印象です。
ポスター発表
ポスター発表は、パネルが100枚近く並んでいる大ホールの、割り当てられた場所にポスター(大体A0サイズの紙に研究内容をまとめたもの)を貼って、ポスター発表の時間にその脇に立って、説明を加えつつ発表するもの。
こんな感じのホールにパネルが立っている。
ポスターパネル
ついでなので、自分でポスターを貼った際の説明をしておきます。ポスターボードに、こういったマジックテープがあらかじめ貼り付けてあるので、これをはがして、裏面の両面テープをはがして、自分のポスターにはり、ポスター設置。
ポスターの貼り方は以上です。
発表会場には、各種スポンサーなどのブースも出ており、実験装置のデモなども行われています。
ポスター発表自体
ポスター発表は、今回は2時間の枠がありました。ただ、ひたすらポスターをみているわけではなく、軽食も振舞われ、食べ飲みながらお互いの発表を聞く感じです。
なんとビールやワインも配っています。ビールにいたっては、ビールサーバーが磁石をモチーフにしていた。
ポスター発表では、毎回毎回、最初から説明をするので、短時間でどんどん話すのが上手くなっていくのを実感する。
設置時間
ポスターセッション自体は、ポスター発表用に割り当てられたの時間に主に行われていますが、一般的に、会場にたどりついたら、ポスターを貼っておき、会議が終わって帰る前に剥がしてもって帰りましょう。
というのも、口頭発表の間の休憩時間は、ポスターが貼ってある部屋で立食のコーヒーブレイクがあったりする可能性が高く、人目に触れる可能性が高いためです。実際今回は、セッション間の休憩は、ポスターが設置されたホールで行われました。
なお、会議自体が非常に大きい場合には、ポスターを貼れる時間帯や剥がす時間帯が設定されていたりする場合がありますので、それに従いましょう。
基調講演
口頭発表のうち、基調講演という著名な招待者が話すものもあります。会場はこんな感じ。
基調講演は1時間でした。
休憩時間
一般的に口頭発表の1セッションは2時間ほどで、午前2セッション、午後2セッションなどが多いでしょう。通常セッションの間ごとに休憩時間があります。往々にして立食のコーヒーブレイクかアルコールブレイクです。それまでの発表者に質問があったりしたら、積極的に聞きに行きましょう。またあらかじめアポを取っていたら、そこで話すのもいいでしょう。一人で漂っているのは、あまりお勧めしません。
Annual General Meeting (AGM)
プログラムの中にAGMというものが入っている場合もある。これは日本語訳では年次総会に当たる。この学会のコミュニティの会計報告や試み、方向性を決める。場合によっては次期役員の選挙などもある。ちょっと見ていたら、相当カジュアルな感じで行われていた。
確かに、同じ分野の人が一堂に会する機会は、こういう会議でもない限りなかなかないので、一緒にやってしまうのは自然な流れなのだろう。実際、他のコミュニティ、例えばコーフボールのイギリス学生コーフボール協会のAGMはインカレ初日の夜に行われていた。この辺りも近々まとめておきたい。
ディナー
会議の規模にもよりますが、交流会のイベントとしてディナーがついていることがあります。今回はついていました。会場はなんとCathedral内。
入り口でシャンパンなどを渡され、プレドリンクののちに、適当に着席。
とりあえずInstagramにも投稿してみた。
Conference dinner at a cathedral 国際会議のディナー会場が教会内だった。
食事自体は、いわゆる通常の3コースディナー。
半ビュッフェ形式。好きなものだけ取って着席。
(テーブル的にはサーブされる感じで並んでるのに、立ち歩いて取りに行くんだねとか考えてしまった。)
サラダ。
メイン。といってもなんか結構バラバラで、カレーとフィッシュアンドチップスと、シチュー。
からのデザート。
総じて幻想的なディナーでした。
ホテル
一般的に国際会議の際は、会議の主催側がおすすめホテルなどを提示してくれる場合が多い。多くの場合団体割引で少々安い。今回もそのおすすめのところに宿泊。実際結構いい感じ。
ちなみに朝食付きでした。イギリスらしくフルブレイクファスト。
研究費
日本とは、研究費の扱いなどが違うようですが、少なくとも今回の場合、旅費・参加費・滞在費はすべて、研究費を使って支払うことができます。「これにさっきの参加証明書使うのか!」とは思ったものの、秘書の人は「いや、レシートで十分だから」と言われてしまい、やっぱり参加証明書の利用方法が、いまいちよくわからない。
名前と所属を聞かれ…
立食中に、初対面の人と話していた際、とある理由で名前と所属を聞かれました。その後話している間に、連絡することになったものの、ほかの人と話している間にはぐれてしまった。その後その本人からメールが来ていた。次の日あったのでどうやったのか聞いてみると、「Googleで”Hajime Cambridge”って検索したら、すぐ出た」と言っていた。
(Google)
…本当だ。名刺とか要らないですね。
名前と所属、または名前だけでも連絡先がすぐわかる。なんとも便利な世の中になったものですね。同時にめっちゃ悪用可能、な気もする。
終わりに
国際会議を描写するとこんな感じです。最後のほうは女子大生のキャピキャピ旅行のインスタグラムと全然変わらない気すらしますが、会議や大会などは、形は違えど大概こんなところではないでしょうか?
なんだかんだ様々な人と交流がありいい機会だと思いますので、機会がある人は、特に理工系の大学生は一度くらいは積極的に参加してみることをお勧めします。