3分で専門分野外の人に研究論文の内容を英語で発表する大会


一般的に研究の発表は、万国共通で、スライドでプレゼンで発表するのが通例でしょう。国際会議も少なくとも学術的な会議ではスライドの形式で発表するのが現在の主流です。発表も趣旨に応じて非常に専門的なものから、分野外の一般向けのものまで長さは発表形式に応じて様々です。一時間以上のものもあれば数分のものもあります。そんな中今回は3分で専門外どころか、自然科学社会科学も入り混じった人に対して発表する”Three Minute Thesis Competition”という大会に参加しました。今回の大会はこちら”Vitae Three Minute Thesis Competition”。

専門分野外の人に3分で発表をする大会

Three Minute Thesis

直訳すると「3分論文」のこのイベントは、2008年にオーストラリアのクイーンズランド大学2008年に最初の大会が開かれてから、今では多くの国に広まっています。「80000字の論文を説明するには9時間かかりますが、3分でスライド1枚で説明できますか?」

ルールは3分、スライド1枚。以上。アニメーションやサウンドなどはすべて禁止。詳しくはこちらを参照ください。

https://www.vitae.ac.uk/events/three-minute-thesis-competition/3mt-2016

University of Queensland, Three Minute Thesis 

学生のプレゼンコンテストですが、スポンサーがついています。

ケンブリッジ大学大会

ケンブリッジ会場はGraduate Unionという大学院生の生徒会のような組織。

https://www.facebook.com/GraduateUnion/

http://www.gradunion.cam.ac.uk

会場には、発表者と主催者と審査員。と少々の観客。周りは当然といえば当然ですが、ネイティブや英語の経験が私と比べると数倍だと思われる人ばかり。

審査員の一人は、Julian Huppertという元国会議員の方で現在はケンブリッジ大学の教員。分野間のインタラクションなどを担当されている様子。

 

使ったスライドをアップしておきます。動画は上がり次第付け加えます。

私はフラストレーション系物質の合成評価に取り組んでいます。このトークの目標は、フラストレーション材料に親近感を持ってもらうことです。「フラストレーション」は例えば人間では、同僚にイライラしたときなどにたまりますね。材料もフラストレーションがたまることがあります。フラストレーションの原因は材料中にある磁石成分で、ある一定の状態に並べるとお互いに相互作用をし続けることによってなかなか一定の状態に定まらない状態ができます。これをフラストレーションと言います。フラストレーションがたまると、仕事の効率が落ちたりしますね。材料でも同様です。

フラストレーションを解消するにはどうしたらよいでしょうか?人間ならどうしますか?おそらく最も有効な方法のひとつは、物理的な距離をとることでしょう。この方法を物質でも試してみましょう。このグラフは実際に実験室で取ったものです。縦軸が磁石の強さ、横軸が磁石間の距離です。

確かにお互いに近い時は強さが小さいですが間が広がるとだんだん大きくなっていきます。ある距離になったら一気に増えます。その後はあまり変化がありません。確かに人間でも十分に離れていれば、あまり関係ないですよね。この時の距離をクリティカルポイントと呼びます。この場合はクリティカルディスタンスですね。さてこのように調べるには様々な方法があります。ドーピング、違う物質を混ぜたり、高いプレッシャーをかけたり、冷やしたり。確かに冷静になったら、いいですよね。私は特にこのドーピングの研究を行っています。

こんな感じです。親近感を持っていただけましたか?

結果、約20人ほどいた中でファイナリスト4人のうちの1人として選出されてしまいました。最近段々日本人として、というのはどうでもよくなってきていますが、日本人としてはまた例がないんではないでしょうか?国際的な言語の重要性が違うので、一概には言いづらいですが、言ってみれば外国人留学生が日本に来て日本語のスピーチコンテストで同じ基準で審査して外国人が勝っちゃう感じ、でしょうか。もちろん私自身も驚いています。

こちらはファイナリストと審査員の集合写真。

However, the highest scoring two MPhil and four PhD entrants were selected to progress to the Cambridge final, to be held in May. The winner of the Cambridge competition will be invited to enter the national competition later in the year.

Thank you to all who entered, and to Julian and Amatey, for their part in a captivating demonstration of the interests and talents of the graduate community at Cambridge.

MPhil finalists: Jason Ginsberg, Natalie Kauf

PhD finalists: Hajime Shinohara, Julia Schaeffer, Anabel Martinez Lyons, Joost Haarsma

http://www.gradunion.cam.ac.uk/news/three-minute-thesis-competition

何事にもアウトリーチ能力が重要、という話をしている割には、アウトリーチ能力を客観的に、対外的に認めていただいたのがこれが初めてであったので、記念の意味も込めてここにまとめておきました。この大会には続きもあるので、頑張りたいところです。

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