Graduate Conference分野横断型の学会での発表ケンブリッジ大学/大学院


アウトリーチが重要、と最近言っていますが、これはスポーツに限らずどの分野でも重要です。今回、ケンブリッジ大学の所属カレッジ「ジーザスカレッジ」において、分野横断型の学会形式のイベント[Graduate Conference]に参加しました。参加者の分野が多岐にわたるため、分野外、専門外の発表です。

分野横断型の学会 Graduate Conference

プログラム

学内のイベントですが、例によって本格的です。形式は、土曜日の午後を丸々使って行う学会形式。まずエントリーがアブストラクトの提出によって行われ、発表者が決定。このブログでもはっちゃけ系イベントの紹介をしていますが、このイベントは相当に真面目です。

 

会場

会場はWebb Libraryという図書室。左右の壁には中国から寄贈された本が並んでいます。実際に本です。天井も非常に高く10メートル近くあります。雰囲気がすでに歴史を重々しく感じます。床も板張りなので、歩くとコツコツ音がします。最早映画撮影か何かに感じてしまう。こんなところで話せただけでも結構貴重だったと感じました。

Webb Library Conference

http://conference.jesus.cam.ac.uk/venue/the-webb-library/attachment/webb-library-conference/

基調講演

毎年招待基調講演の方がいらっしゃいます。本当にどこから呼んでくるのか、毎回結構な方がいらっしゃいます。前回はBBCのアナウンサーが来ていたような。

今回は、元スパイ。007ジェームスボンドのモデルにもなっているイギリス秘密情報部(MI6, Secret Intelligence Service, SIS)の元所長。Sir Richard Darelove氏。この方です。Wikipediaにもジェームズボンド”M”と同じ機能を果たしていたと書かれています。アメリカのCIAと似たような位置づけの組織です。

https://www.sis.gov.uk/

Richard Dearlove1.JPG

https://en.wikipedia.org/wiki/Richard_Dearlove

彼のスパイ時代の経験を語っておられました。

画像に含まれている可能性があるもの:1人以上

発表

基調講演の後に、前半の発表(5人)、ランチ兼ポスター発表、後半の発表(6人)を行います。私は前半発表でした。1人15分。分野は物理や化学だけでなく、開発学、教育、ビジネス、マフィアまで様々。ネイティブが過半数を超え、分かりやすいものも非常に多かった。

私は「低次元量子フラストレーション low dimensional quantum frustrated magnets」とかいう非常に込み入った物性物理の話をたとえ話と共に行いました。どれくらい馴染みがないかというと司会の方がつっかえて読めなかったくらいです。

以前のものはここから参照できます。

http://mcr.jesus.cam.ac.uk//academic/

ポスター発表は、普段バーとして使われているスペースの壁にポスターを貼って行われた。約15枚のポスター。人が減り始めてから撮影したためこのような感じでしたが、ここに100人近くの人がいました。

コーヒーと紅茶、水なども。

ところどころ自分で撮った写真がありますが、やはり50ポンドのスマートフォンの写真は画像に限界があるので、近々カメラを買うことにします。

ドリンクレセプション

その後はカレッジマスター(学長)の会食スペースでドリンクレセプション。シャンパンとエルダーフラワーが振舞われる。参加者がお互いにねぎらいながら、誰の発表がよかったとか、詳細な質問をしていたりなど。

カンファレンスディナー

その後はもはや当然のようにカンファレンスディナーがあります。前菜、メイン、デザートの3コース。

例によってですが、非常においしかった。しかも発表者は無料です。

表彰

ディナーでコーヒーを注がれていて、いわゆる「しばしご歓談中」に、オーガナイザーが今回の優秀プレゼンターと優秀ポスタ―を発表するとのアナウンスがありました。例年は何個か呼ばれるのですが、今年は優秀プレゼンターと優秀ポスター1人ずつとのことです。

非常にいい発表がありいくつかに至っては「あんな風に話せるの良いな。」とすら思っていました。個人的には、会場の笑いはひたすらとれていたし、いわゆるド文系専攻の人からも「量子フラストレーション分かった!」という話があったので、もし3つくらい選ばれるのであれば、ひょっとして選ばれるんじゃないか・・・?程度に考えていました。しかし1人だけなら、無いだろう、と思っていました。

そして発表される。「非常に難しい判断だったが、受賞者は、おめでとう、フラストレーションのはじめ」

名前を呼ばれた瞬間は、実際のところ何が起きたのか理解ができずに、一瞬固まっていた。そしてちょっと眉間にしわを寄せ、完全に日本語の「え!?」と声を出し、椅子を押し出してしまった。ついでに一瞬発熱したように、ちょっとあまりかいたことがないような、一風変わった汗をかいた。

副賞は、先ほど上記に書いたジェームスボンドのモデルの方本人のサイン入りの007のDVD。

Richard Darelove Formerly “C” not “M”

CというのはMI6の座長のことを指す際のコードネームのようなものです。ジェームズボンドの映画のMみたいな感じですね。

 

Jesus College Master, Prof. Ian Whiteと。

受賞スピーチを即興でしましたが、それを少し改めて文章にしたものをあげておきます。

ありがとうございます。3年前、入学した際には、同期には知っている人もいるかと思いますが、私は英語はそんなに話せませんでした。入学式のディナーの際には偶然にもマスターの隣でした。英語で必死に話そうとしましたが、結構厳しかったです。そんなにうまくなかったでしょう。新歓イベントでパブに行っても、何を話しているのかわからなくなって、すぐにテニスの試合を見ている感じになりました。ボードゲームをやっても「ルールを分かってないみたいね。」と言われたりと散々な状況でした。それでも3年間、MCR(大学院生コミュニティのこと)で親切なことに参加させていただけたことで、英語力も向上しました。今回の結果はMCRの皆さんのおかげだと思っています。大変ありがとうございました。

 

さて、この結果はもうMCRでの皆さんのおかげそのものなので、このDVDは、共有スペースに寄贈しようかと考えていました。そこにはXBoxなどもあって、DVDも置いてあります。仮に私が家に保管しておいても宝の持ち腐れ感が否めませんが、こちらにコメントを付けておいておけば、DVD自体も視ることができますし、「ジェームズボンドのモデルの人が昔来て講演してたらしいよ」って分かって面白いのではないか?と考えていました。

しかしながら「やめとけって、こんなところにおいて置いたら、絶対盗まれるって!」と言われて止められています。さて代案を考えたいところです。

 

Facebookにも投稿しました。

純ジャパの私ですが、英語圏の大学で、英語で発表をして、表彰されてしまいました。

これは言ってみれば「日本に留学に来た外国人が、日本語で、分野外の人に対してプレゼンをして、その発表成果で、ベストプレゼンターを表彰されてしまった感じ」でしょうか。なんだかあまりない気がします。実際のポスター賞よりも全然嬉しかったです。

終わったら、バーで今度はビールなどで当日の振り返り。この日はなんだかスター状態になりました。ただ、自分では自分より素晴らしい発表がいろいろあったので、複雑な気分です。特に同期のアメリカ人の発表は素晴らしかったので、本人にも言いに行きました。ただ彼曰く「スピーチで言ってたけど、知ってるもん、お前がそんなに英語出来なかったの。それがこれですよ、日頃の成果でしょ!」本当にありがとうございます。

 

こちらの情報網は早いもので、後日当日いらっしゃらなかった同僚からも「はじめ!聞いた!おめでとう!」といろいろ連絡をいただきました。一種DVDの上映会も行っていただきました。本当に皆さんありがとうございます、としか言いようがありません。

この学会の会場には、年次レポート(Annual Report)の編集者がいらっしゃったようで、年次報告書へのフィーチャー記事として寄稿を依頼いただきました。

表彰とは独立に、OBや寄贈者を対象に行われる年次園遊会(Annual Garden Party)への現役学生代表としての登壇の依頼をいただきました。こちらも頑張りたいと思います。

海外の特に名門大学では、退学しないで卒業するのがやっと、というのが通説のようですので、純ジャパがこのように表彰されたり代表で講演を依頼されるのは、結構レアなんじゃないでしょうか?

 

なお、英語が全然できなかったとは言っていますが、それでもケンブリッジ大学の入学最低条件のTOEFL iBT 100, IELTS 7相当レベルの英語力はありました。それでもなお、やはり立食パーティや飲み会で笑いを取りながら歓談をしたり、発表でも笑いを取りながら分かりやすく説明するには、さらに上のレベルが必要です。日々練習です。

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